十二月二日(月) 晴れ
 今日は、母と妻から、お仕事を仰せつかり、ぼくが予定してゐた勉強もできず、また弓道のお稽古にも出でかけられませんでした。

その仕事とは、庭の五葉松の刈込・剪定でした。母がお嫁に来た時にはもう植ゑられてゐて、亡き父とずつと世話をしてきた大切な松なんです。

頼んでおいた植木屋さんが、突然に、しかもポストに紙切れ一枚を放り込んで、二十日の延長をつきつけてきたのです。日当たりを気にしてゐる母が、それで、我慢できず、ぼくにやれと、かういふわけなのであります。

やりましたよ。昔取とつた杵柄で、やりはじめてしまへば面白いものです。山暮らしで使つてゐた道具も、ひさしぶりに活躍できました。でも、一日では終はらず、明日に持ち越しになりました。母は気にして、夕食のとき、お小遣ひをあげようかといふので、当然ぼくは断りませんでした!

ところで、ラムといふ名前は、その時の飼ひ主がつけた名前です。それで、ぼくと妻は、名前とは別に、「お嬢」と呼んでゐました。そのはうが親しみがあるし、女の子ですから、「お嬢」と呼んでも差し支へないのですが、ここは、ラムに統一して呼ぶことにします。さて、そのラムですが、今日は、日中は陽だまりで爆睡! とても幸せさうなので、ぼくたちも幸せでした。

しかし、ラムと出会つた頃は、捨てられたことが心の傷になつてゐたんでせう。とてもきついといふか、怖い顔をしてゐました。いや、急に、いろいろな思ひ出がよみがへつてきてしまひました。

 

今日の写真:はじめてカメラに収まつたラム(一九九八年一月廿一日)。それと、それを描いたぼくの画。四枚目は、巨大な沢蟹に驚くラム。