正月十六日(木)丁亥(旧十二月十六日・望) 晴天

今日は、「中仙道を歩く」その第十二回、松井田宿から坂本宿まで歩きました。いい天気で、風もなく、歩けば汗が出るほどでした。上野駅公園口からと新宿駅西口から乗車の三十八名と、リーダーの桧垣さん山寺さんが御一緒。毎回、心強い布陣です。

 松井田宿入口の、前回のゴールには十時五分到着、十分の出発でした。はじめから山の道に野の道、国道沿ひではありますが、縫ふやうに、旧跡を訪ね、宿場の町並みを味はいつつ歩きました。左てには、碓氷川と、その向かうにそそり立つ妙義山。遥か正面には、雪を頂いた浅間山が美しく聳えてゐました。坂本宿手前の、日本橋以来最大の急坂といふのには、大塚さんとともに喘ぎながら、声をかけあひながら殿(しんがり)をつとめました。ゴールの坂本宿には、午後三時二十五分到着。正味二二八〇〇歩でした。

 しかし、困つたことに、今回は、テーマがさつぱり見えてきません。なんだか、いい景色に思考を奪はれてしまつたのでせうか。せめて、写真(今日一日で、二七〇枚)の整理を行ひながら、心に響いてくるものに、細心の注意をはらひたいと思つてゐます。 そのやうな状態ですから、『中山道を歩く 十二』がいつ出来上がるか、予想も立ちません。でも、二月はお休みですから、そのうちに何とかなるでせう。

 次回は、三月。いよいよ碓氷峠越えです。これを越えねば、中仙道を歩いたとはいへない、とぼく自身に言ひ聞かせてゐるんですが、その坂本宿から軽井沢宿まで、もう登山の気分です。今日も、帰りのバスのなかで、リーダーから盛りだくさんの諸注意をいただきました。

 

今日の写真:信越本線と浅間山。木枯し紋次郎が歩いてきさうな野原と妙義山。こんなところにラックレール! 一九九一年八月のスイス・ドイツ旅行唯一の、ぼく自身へのおみやげの双眼鏡。碓氷関所跡にて、仙道会の四人。坂本宿と正面には刎石山。