正月廿九日(水)庚子(旧十二月廿九日) 晴れ 

今日は一日中屋根のペンキ塗りでした。剥がす時のやうな大きな音はしませんけれど、臭ひにはまゐりました。思はず「スネークマンショウ」を思ひ出してしまひました。その第一段、『急いで口で吸え!』の中の、「おぅ、亀! シンナーに気をつけてカベ塗んな!」の世界ですよ。

ええッ、知らないのですか、あの有名なスネークマンショウを。ぢやあ、「これなんですか?」も、「こなさん、みんばんわ!・・・では、らたまいしゅう」も、「よーし、ここにサインしろ」も、ええッ、し・ら・な・い?

なんてことでせう。知らないあなたは、悪いですけれど、ぼくとは違ふ人種ですね。いへね、人類は、男女や肌の色によつて人種が異なるといはれてゐますが、とんでもありません。スネークマンショウを笑へる人種か、笑へない人種かに分かれるのを、まさか知らなかつたんではないでせうね。いやあ、つきあひきれませんね。すみません。さようなら。

ではなく、ほんとうは知つてゐて、知らないそぶりの方が多いんです。幸ひ、ぼくと妻は、「あ・い・て・て・よ・か・つ・た!」と言つただけで心もほぐれ、からだもほぐれ、愛ふたたびの世界に入れる魔法のやうな瞬間を共有できる幸ひを享受してをります。実に、スネークマンショウのおかげ、様様、万歳なんです。

あ、さうだ、桑原茂一さんと一緒に撮つた写真がありました。二十年も前になります。ぼくの従兄の娘の貴子ちやんの結婚式の司式をした時に、新郎からスネークマンショウの人ですと紹介されたんです。そのときは大感激しましたね。シンナーの臭ひから連想して、懐かしく思ひ出しました。

 では、ここで、「福音」をみなさまにもお分けしなくてはなりません。でもひとつだけ、〈今日の写真〉をご覧くださいませ。

 

さて、「中仙道を歩く十二 松井田宿~坂本宿」を書きはじめました。はじめれば筆が進むので、不安もなくなりますが、何を書こうかと思ひはじめると悩みはじめてしまふのです。幸ひ、はじめの部分から、西南の役のことやら、碓氷用水闘争の話などが思ひ出されて、ひさびさに熱も入つてしまひました。写真が役に立ちます。素直に思ひ出し思ひ出ししながら書いていきたいと思ひました。

 

今日の写真:桑原茂一さんとともに。スネークマンショウのジャケット。それに、一応軽やかなるけふのラム。