二月二日(日)甲辰(旧正月三日) 曇り、朝一時雨 

今日も、『古文書手習い』を読み進みました。といふとかつこいいやうに聞えますが、いつものやうに、横になつて読んだだけです。

思ひ返せば、昨年の四月から今まで、早く古文書が読めるやうになりたいと一途に取り組んできました。何に学んだらいいのか、何を読んだらいいのか、まつたく自己流で、かつこよくいへば独学してまゐりました。でも、どの語学でも同じなのでせうが、単語ばかりを覚えるだけでは面白くありません。それで、古典文学と称されるものも読んできましたし、「インターネット古文書講座 群馬県立文書館」では、生の古文書にも出会ふことができました。また、この『古文書手習い』などの「教科書」には、多くの文例が載せられてゐて、江戸時代の勉強にもなります。まだまだ継続中といつたところです。

でも、もうひとつ手がありました。それはポルノです。先に、江戸時代の書物は百万点を越えると言ひましたが、調べてみたら、「艶本」といはれるものも大量に出版されてゐたやうです。『江戸艶本を読む』や『江戸艶本ベストセラー』で知られる林美一さんによれば、推定で二千点を越すといひます。が、もつと出てゐたやうにも思はれます。

『方丈記五種』について語つたときに、古典文庫のことにも触れました。これは、古書店でしか入手できない貴重な資料集ともいへる文庫ですが、先日届いた「慶文堂古書目録」(第七十七号)によると、揃ひで六七〇冊、一二〇万円となつてゐます。ぼくが、古本屋で、安価なので、やつと手に入れた「古典文庫総目録」(一九九一年刊)では、五四一冊あり、さらに続刊が予告されてゐます。百万点には届きませんが、一般の古典文学全集には載せられてゐない、珍しいたくさんの本にお目にかかることができるのです。しかし、その本文の多くは翻刻されてしまつてゐるのですが、中には、特に、「艶本」などは、くづし字のままなのがあるのです。いいでせう!

それを求めて通つてゐるわけではありませんが、八木書店(古書部)の二階で、たまたま積んであつた中に、古びた『好色旅日記』と『男色大鑑 上下』を見つけてきいたところ、一冊百円でいいといふのです。即買ひですね。古典文庫には、他にも、『好色一代男』や『好色一代女』『諸艶大鑑』など、文学として認定されてゐるものも刊行されてゐます。

林美一さんも、「私達の祖先が遺した古典まで現代語の訳本でないと読めないのは、何んといっても情けなかった」と言つてゐます。もう、ぼくは、横文字はあきらめたのであります。自分の生き方に関係がほとんど無くなつたからです。でも、悔いはありませんし、この豊饒の海たる歴史と古典の世界が、諸手を広げてお待ちかねなんです。お誘ひにのらない手はないではありませんか。

 

いやいや、思ひ出してしまひました。明日は、病院で検査を受けるんでした。“薬剤負荷心筋シンチグラフィ検査”といふものです。心筋に負荷をかけて心臓の働きを調べるといふもののやうなんですが、それを、実際に運動してではなくて、薬剤を体内に注入して調べるといふのです。いつそのこと、愛宕山をかけ上れと言つてくれたはうが、どれだけ気が楽か、今から気が滅入つてしまひます。かといつて、『好色旅日記』を読みはじめたんでは、もつと心臓に負担がかかるかも知れず、どうしたもんか、ラムのそばで考へてみます。

 

今日の写真:今朝のラム。以下、古文書勉強関係! 「繪入」がいいでせう