四月十日(木)辛亥(旧三月十一日) 晴れ、暑くなる

東京慈恵大学病院に入院しました。妻も一緒なので、今朝は歩いて、堀切菖蒲園駅から、町屋駅で千代田線に乗り換へ、さらに大手町駅で三田線に乗り換へて御成門駅下車でやつてまゐりました。いつも千代田線綾瀬駅まで妻に送つてもらつてゐることがいかにありがたいことかかみしめた次第であります。

九時から十時の間に入院の受付するやうにといふことでしたので、少し急いで来たつもりが、ちやうどラッシュアワーにあつてしまひ、妻が言ふには何十年ぶりかしらといふ混雑でした。九時過ぎ、病院の入退院受付についたときにはほつとしました。

しかし、ほつとしてゐるまもありませんでした。“経食道エコー検査”が待ち構へてゐたのです。病室に案内されるや、パヂヤマに着替へて準備。前にも触れましたが、心臓の裏側からエコー撮影して、心臓内に血栓ができてゐないかどうかを調べるものです。医師と研修医にかこまれて、口から管を飲み込んでの撮影です。前回にはなかつた、一時間ほどかかる検査でした。でも、幸ひ、麻酔のおかげで痛くも苦しみもなく、その結果も、血栓は見られませんでした。

この検査のために、今朝は食事はとれず、水も七時までといふことだつたので、検査後の昼食がとてもおいしく感じられました。そして、ふと我にかへると、ここは、四年前に入院した時と、同じ階の同じ病棟で、しかも同じ病室の同じベッドではないですか。いや、こんなこともあるんですね。さすが、看護婦さんたちは違つてゐましたけどね。

 昼過ぎ、眠けもさめかかつたころ、主治医の女子先生に呼ばれました。妻と二人で明日の手術(カテーテルアブレーション)の説明を受け、リスク(予想される合併症や偶発症と危険性)についても図を描いて説明されましたが、ただ聞いて、「同意書」に署名するしかありませんでした。まあ、いつものことではあるのです。はい。

 妻はそれで帰宅し、ぼくは、看護婦さんに促されて、浴室に導かれました。シャワーを浴びるとともに、手術の場所である股の毛を剃るのです。普段見かけないやうな、精密さうな

小型の電動剃刀機です。押しつけ過ぎると傷がつくので注意されました。それからです。終はつたら確認したいといつて、ばつちり見られてしまつたのであります。もちろん合格しましたけどね。

 さあ、あとは明日を待つだけです。術後、その日次の朝までは起き上がることはできません。気分よく本が読めたら幸せです。

 あ、さうさう、看護婦さんですけどね、みなやさしいのであります。ご安心を。なにせ、この病院のモットーは、「病気を診ずして、病人を診よ」ですからね。

 

今日の写真:朝の散歩。病室内あれこれ。