六月廿九日(日)辛未(舊六月三日) 晴れ、夕方はげしい雷雨

ぼくが目を覺ましたときには、すでに弟はイクちやんと散歩から歸つてきたあとでした。さう、夕べはほんとうによく眠れました。やはり疲れてゐたんですね。

勝美とみどりさんと三人で朝食をしてゐると、イクちやんは、テーブルの下で横になつて靜かにしてゐます。そしてたまに足に戯れついてきます。彼の家では、すでに何頭もの犬を飼つてきた經があり、一緒に靜かに穩やかな生活を送つてゐます。

そのためには、食事以外には決して食べ物を與へません。それはぼくたちも見習ひました。ラムは、ですから、思ひ起すと、目の前でお煎餠やクッキーを食べてゐても、決して欲しがりませんでした。意地惡してゐるんではありません。見向きもしないのです。それだけ自分の食事に滿足し、散歩では體力を使ひ、かつまたクンクンと好奇心も滿たしてゐたんだらうと確信してゐます。イクちやんも幸せさうです。

勝美には上田驛まで送つてもらひました。上田城が見たかつたんですが、けつこう遠いんです。でもドライブがてら、起伏に富んだ素晴らしい田園風景を見ることが出來ました。

上田驛發一〇時四二分の新幹線で、上野驛には一二時六分到着でした。そこでお晝を食べてから歸宅しました。

そして、家に歸り、階段を上つたらラムの匂ひがしたんです。でも、それはほんの一瞬で、すぐに消えてしまひました。

 

今日の寫眞:イクちやん。家の前庭とその向かひの景色。上田城にて。「眞田赤備え兜」。