十月十九日(日)癸亥(舊九月廿六日) 晴れ
「中仙道を歩く」、贄川宿から上松宿まで三十七・五キロあります。それを二泊三日で歩きます。明後日にせまりました。ちよいと天候が氣になりますが、装備は萬全です。
でも、江戸時代の人々は、このくらゐの距離など、一日の行程でせうね。それは、旅の中身がちがひますから、一概に言へませんけれど、まあ樂しみながらも、ぼくは、歴史の勉強としたいですね。こんども中身が濃さうです。
今日の『狂歌問答』、もとへ、「一休獨吟」の續きです。
「問ばいふとハねバいハぬ達磨どの こころのうちになにかあるべき」
「世の中の嫁が姑にはやなれバ また佛にもなるはほどなし」
「朝露ハきえのこりてもありぬべし たれか此世にのこりはつへき」
「始めなく終りもなきにわがこころ うまれ死するも空のくうなり」
さらに・・・
「三とせまで作りしつみも諸ともに つひにはわれもきえはてにけり」
「行すゑにやどをそことも定めねバ ふみまよふべきみちもなきかな」
「釈迦といふいたづらものが世にいでて おほくの人をまよハするかな」
「なきあとのかたみに石がなるならバ 五りんの代に茶臼きれかし」
續けて、後半も讀んでしまひます。
「心とはいかなるものをいふやらん すみ繪にかきし松風の音」
「其ままにうまれながらの心こそ ねがはずとても仏なるべし」
「嘘をゆきぢごくへおつるものならバ なきことつくるしやかいかにせん」
「極楽もぢごくもしらぬ思ひでに うまれぬさきにものとなるべし」
さあ、殘りあと八吟となりました。明後日には、中仙道の旅に出なければなりませんので、明日で終了にします。豫告をしておきますと、次は、『道外(どうけ)百人一首』を讀んでいきたいと思ひます。これまた笑へてしまふ歌ばかりです! 乞御期待。
今日の寫眞:「くづし字」ばかりでは彩りに乏しいので、近所の猫の寫眞をお載せします。