十月卅日(木)甲戌(舊閏九月七日) 晴れ

 

今日は、母が早朝から日歸り旅行へ行き、妻は妻でお出かけしたので、小川由秋著『木曾義仲』(PHP文庫)をせいせこと讀みあげてしまひました。木曾義仲を知るには、『平家物語』が一番であることは承知なんですが、その生涯を概觀しておきたかつたのです。

『平家物語』には、たくさんの種類(諸本・異本)があるので手こずつてゐます。まづ、大きく、語り本系諸本讀み本系諸本とに分けられます。さらに、讀み本系は略本廣本に、その廣本系はまた延慶本長門本といつたやうに、自分が手にしてゐる本が、どういふ系統の本であるかさへ、なかなかわかりにくいんです。そもそもが謎だらけのやうです。

例へば、ぼくが讀んだのは、講談社文庫の『平家物語』ですが、これは、「元和九年(一六二三年)刊行の片仮名交り附訓十二行整版本」といふ本です。高校教師をしてゐたときに讀書會をして、そのとき國語科の教師に薦められて使用したんです。振り假名がふつてありますから、聲に出して讀めるのが樂しいのです。

ただ、これは、「流布本を厳密なる校訂を施したものである」とあり、その流布本が何であるのか、「平家物語の諸本」といふ章にちよいと踏み込まうとすると、もう専門用語が飛び交つてしまつて、ちんぷんかんぷん!

ぼくの手元には、そのほかに、覺一本、百二十句本(古典文庫の影印本)、竹柏園本、『源平盛衰記』、『源平闘諍』などがありますが、木曾義仲がどのやうに描かれてゐるかを比べるだけでも面白いのではないかと思ひます。それと、芥川龍之介の『義仲論』、なかなか手強いです。 

 

今日の寫眞:木曾川より伊吹山を望む。「義仲館」内の木曾義仲と巴御前の像。

 


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