七日(土)甲寅(舊十二月十九日 晴のち曇りのち雨

また、病氣が出て、朝から神保町へ足を運んでしまひました。西行が一段落したので、今度は、きりしたんについて學びはじめたんですが、先日求めた『きりしたん史』がまたすんなりと腑に落ちていくのです。電車を乘り過ごすところでした。以前、それも何十年も前に關心があつて少し取り組んだ記憶があるんですが、氣がついたらほとんどを手放してしまつてゐたらしいのです。不覺です。

そこで、せめて、第一級の資料である、レオン・パジェス著『日本切支丹宗門史』(岩波文庫)と、同じ文庫本の、『聖フランシスコ・デ・サビエル書翰抄』を求めてふらついたのでした。ありました、それも格安でした。そしたら、ルイス・フロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』(同)も目に入つたのでついでに買つてしまひました(因みに、この譯注者の岡田章雄さんは、僕の母の從兄弟なんです)。

さらにです、インゲ・ショルといふドイツ人が書いた、『白バラは散らず ドイツの良心 ショルツ兄妹』(未來社)と出會つたので、これは見逃せないと思ひました。ワゴンセールの一册二百圓の中から掘り出したんです。正月二十一日に、ぼくの讀書(十三)のところで、ヴァイツゼッカー演説集『言葉の力』(岩波現代文庫)を紹介しましたよね。その講演の中で語られた、「ヒトラーとナチズム支配への抵抗を呼びかけるビラを密かに配り・・処刑された」、ショルツ家のハンスとゾフィー兄妹を中核とするグループ『白バラ』についての内容です。

さらにまた、丸谷才一さんお薦めの、フレイザー著『サイキス・タスク(俗信と社会制度)』(岩波文庫)も探しあてました。かうしてみると、『白バラ』以外はみな文庫本です。でないと、おさいふが泣きますからね。

さらに節約して、歸りは、神保町驛から都營新宿線で馬喰横山驛經由、都營淺草線に乘りかへて靑砥驛、再び乘りかへて堀切菖蒲園驛へと歸つてきました。すると、都營部分が無料になるので安あがりなんです。もちろん、わけありのぼくだけですけどね。

 

今日の寫眞・・はじめて入つた神保町の“ラドリオ“。スパゲチーとコーヒーのセットでお晝をすませました。大きく音樂が流れてゐて、薄暗く、學生時代にもどつた氣持ちがしました。ただ、それがシャンソンばかりだつたので息苦しかつたです。それと、『白バラは散らず』です。



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