十月廿六日(月)乙亥(舊九月十四日 晴

 

今日は朝から晝過ぎにかけて、ちよつと厄介な文章を書きました。厄介といふのは、言葉を選んで選び抜いて書かなければならなかつたからです。要は、「中仙道を歩く」完歩を記念して感想文集を作りませう、といふことなんです。それを、參加者の方に知らせてもらふには、參加者の住所を知つてゐるトラベル日本さんを通じてしなければならないからでもあります。どうにか書けましたので、その文案を以下ご披露いたします。

 

 

『〈中仙道を歩く〉完歩 感想文集』 作成のお願ひ!

 

みなさま、「中仙道を歩く」完歩、まことにおめでたうございます。

二〇一三年一月に日本橋を旅立ち、晴天はもちろん、灼熱や極寒の日々、はたまた、雨、風、嵐の中を、ただ歩く日々の積み重ねのやうな旅でしたが、碓氷峠に笠取峠と和田峠、鹽尻峠に鳥居峠、さらに雪の馬籠峠と十三峠を越え、木曾川を渡り、長良川を渡り、その長良川では鵜飼ひを見物し、さすがに、赤坂宿、關ヶ原宿を過ぎ、番場宿、鳥居本宿あたりで琵琶湖をちらつと眺め、さらに、彦根城を見學し、竹生島へのクルージング、そして安土城跡に上り、草津宿で東海道と合流するに至つて、やつと、京都三條大橋到着も夢ではないことに胸をときめかせたのはわたくしだけではないと思ひます。

かく言ふわたくしは、みなさまとご同行いたしました中村淳一と申す者であります。さうです、あのひげで長髪の、まことに見苦しい思ひをさせてしまひました中村であります。

まつたくの思ひつきで、しかも突然のことで、さぞ驚かれたと存じますが、わたくし、實は、日本橋を旅立つて以來、『中仙道を歩く』なる紀行文を書き綴つてまゐりまして、それが先日すべて仕上がりました。前編後編をとりまぜて、三十六册にもなりました。

と、一段落しましたら、さうだ、ぼくだけが感想やら意見やら、言ひたいことを書いてきたけれど、きつとみなさんも思ひ出深いこと、書きたいこと、述べたいこと、發散したいこと、共感してもらいたい思ひなどなど、たくさんたくさん胸の奥に、心に溜まつてをられるのではないか、それを、いつその事、みな出しあつて、文集にしてみてはどうかと、先日行はれた、「初期中仙道を歩く」を完歩した歸りのバスの中で思ひ浮かんだのであります。

いかがでせうか。以上、ご相談ですが、贊同いただけますでせうか。

きつと、この時期を逃したならば、すでに甲州街道やら秩父往還やらに氣持ちを移してをられ、中仙道の旅を忘れ去つてしまふ方もおありではないかと危惧いたすからでもあります。

といたしましても、ここでトラベル日本さんを煩はせることは避けたいと思ひますので、わたくしが、「紀行文」と同樣な書式で仕上げたいと、僭越ですが提案するしだいであります。

それで、ひとつ、思ひ出を書いてみたいと思はれた方は、以下の要領でお願ひいたします。

いや、これは、強制ではありませんし、おせつかい野郎の言ふことなんか聞けるかと反發される方は、どうかお怒りをおさめて、ご放念くださるやう、心からお願ひいたします。

 

        記

 一 「題」とご自身のお名前。手紙やはがきの方はご住所も。

一 分量といふか、字數は、まあ、四〇〇字ほどといふことにしませうか。また、あれもこれもといふと長くなりますので、できればひとつにしぼりませうか。旅全體の感想でも、ある場所での出來事や感じたことでもいいでせう。

一 直接中村宛にお送り願ひたいのですが、パソコンをお持ちで、メールが可能な方は、   メールに文面を直接書いても、或いはワード文章にして添付してくださつてもけつこうです。そうしていただけるのが、作成上一番助かりますが!

一 パソコンをお持ちでない方は、さうですね、手紙にして送つていただくしかないでせうね。ほんのちよびつとで、さう、はがきでもいいですからいただけたら嬉しいですね。

ただ、殘念なのは、いつもお會ひしてゐながら、お顔と名前が一致しないことです。なんだか、改めてお名前をお聞きするのができなくて、今さらながら悔やんでゐます。

一 それで、完成時期は、今からお約束できませんが、お送りするときには、すでに、すべてお送りした方は省かせていただきますが、『中仙道を歩く』の第一册目をプレゼントいたします。

尚、すべて讀みたいといふお方には、ワード版形式とパワーポイント版形式の二種類ありますので、どちらかご指定くだされば順次お送りできますので、ご遠慮なくお申し出ください。ただ、これは、ぼくが肌に感じた歴史を綴つたものですから、獨斷と偏見に滿ちてゐます。そこのところをご理解くださいますやうに、呉々もお願ひいたします。

以下、小生の住所とアドレスをお傳へします。・・以下省略・・  

 

今日の讀書・・「初期中仙道を歩く」を書くのに必要と思はれる、大久保長安についての本を讀みはじめました。一昨日求めた、『江戸幕府石見銀山史料』も大久保長安について多くの頁を割いてゐるので求めましたが、とりあへず、ぼくの大好きな半村良の『講談 大久保長安』(光文社文庫)を手にとりました。半村良は、山田風太郎、小松左京、藤沢周平と竝んで、ぼくがすべての文庫本を揃へてゐる作家の一人です。面白いといふだけでは語り盡くせない魅力ある素晴らしい方々です。

大伴家持については必要なところを部分讀みました。歌集のはうは繼續中です。

 

今日の寫眞・・今日、母が巣鴨のとげぬき地藏に行つたおみやげの大福。それと半村良著『講談 大久保長安』(光文社文庫)。

 


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