二〇一五年十一月(霜月)廿一日(土)辛丑(舊十月十日 晴

 

今日は早稻田大學へ行つてきました。構内にある會津八一記念博物館で、《日吉館をめぐる文化人 會津八一と奈良》といふ特別展が開かれてゐたからです。といふのはまつたのでして、會津八一の記念博物館がそこにあるといふことすら知りませんでした。實は、キャンパスで靑空古本市が開かれてゐて、しかも今日がその最終日だつたのでした。

それで、朝から出かけたんですが、古本市の場所が前回とは違つて、それがちやうど會津八一記念博物館の眞ん前だつたのであります。そうしたら、特別展が開かれてゐて、しかもぼくも泊まつたことのある奈良の日吉館がテーマではないですか。それならばと薄暗い建物に入つていつたら、受付で無料だといふのでホットしながら見てきました。

懐かしかつたです。和光大學に通つてゐた妻の、前田耕作先生のゼミ旅行にくつついて訪れたのは、忘れもしてゐた、一九九一年(平成三年)十一月のことです。奈良國立博物館の眞向かひにあつた日吉館には、たぶん二泊したんだらうと思ひます。大勢のみなさんと奪ひあふやうに食事をしたことが思ひ出されます。寒かつたお風呂のことも。また、室生寺や法隆寺などをめぐり歩いたことも。そして、日吉館をあとにする間際に撮つた記念寫眞が手元にあります。女將のキヨノさんとご一緒の、ぼくにとつては貴重な一枚です。

そんなことが思ひ出され、また偲ばれて、わづかな時間でしたが、遠い昔につれていかれるやうな懐かしい氣持ちを味はせていただきました。

 

今日の讀書・・淺草松屋の中の喫茶店で、うまく落ち着いた席に座れたので、新潮日本古典集成の『説経集』を開き、「さんせう太夫」を、それも一氣に讀むことができました。たどたどしくて、はじめのうちはまどろつこしく感じたんですが、だんだんとその素朴な語り口にのせられて、なんとも言ひやうのない感動を味はいました。説經の語りを直に聞いたら、きつとしびれてしまつたでせうね。

 

今日の寫眞・・早稻田大學構内にある會津八一記念博物館と、古本市。それと日吉館とぼくの思ひ出寫眞。妻が若いし、ぼくのひげも黑々としてゐます(『歴史紀行(一)』參照)。

 




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