二〇一六年正月(睦月)一日(金)壬午(舊十一月廿二日 晴

 

元日の今日も變はりなく一日が過ぎていきました。讀書に、原稿書きと、あッ、さう、妻がちよつと來てくれといふので、一緒に出かけたのでした。午後三時頃でしたでせうか。 

それは數日前のことでした。妻が自轉車で買ひ物に出かけたときのこと、團地のそばで人懐つこい猫が目にとまり、なでなでしてゐるおぢさんに聲をかけたところ、そのおぢさんが言ふには、この猫の飼ひ主が最近亡くなつて、それで野良猫になつてしまつたといふのです。 

もともとペットを飼つてはいけない團地ですから、突然ノラになつた飼ひ猫はどこで寢て、どこで食べてゐるんでせうか。妻が聞くとおぢさんは分からないと言ひ、しかも、言ひつける人がゐて、いつ保健所へつれていかれるか分からないといふ。それを聞いた妻が、わが家で飼はうと言ひ出したのであります。 

それで、今日の晝間、猫がおぢさんとゐるところを見つけた妻が、連れてくるから一緒にきて手傳へと、かうなんです。とてもおとなしく、人懐つこい猫だと聞いてゐたもので、ぼくも油斷をしてしまつたのでせう。近くにとめた自動車に、おぢさんの手を借りて、猫を乘せようとしたところ、嫌がつて、おぢさんの手からするりと抜け出して逃げてしまつたのでありました。一生の不覺でした。 

たしかに、上品でおとなしさうで、可愛い猫でした。でも、さうなつたら、近づくと逃げてしまふのです。それで、おぢさんに電話番號を知らせ、また後日來ることを約して歸つて來ました。また、たとへ連れて帰つても、懐かなければ逃げてしまふであらうことを考へると、事の難しさに頭が痛くなりさうです! 

 

今日の讀書・・小松英雄著『丁寧に読む古典』(笠間書院)を讀み進みました。刺激が多いといふか大きいといふか、讀み終はるのがもつたいない! 

 

今日の寫眞・・TVで長時間再放送された、《淺田次郎と歩く小説『一路』の世界》から、特に神田松鯉さんの講談がいいですね! それと、蕨宿のうなぎ屋。是非訪ねなければならないと思ひました。

 



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