二月十四日(日)丙寅(舊正月七日 雨交じりの強風、のち曇り

 

春一番が吹いたといふのに、終日讀書に專念。といふといかにもといふ感じですが、ただ横になつてうつらうつらしてゐただけです。まあ、それでもどうにか今日から、小松英雄著『伊勢物語の表現を掘り起こす 《あづまくだり》の起承転結』(笠間書院)を讀みはじめました。前作と違つて、こんどのは、『伊勢物語(第一段~十五段)』の注釋書そのものですから、他のといふか、從來の注釋書を引き合ひに出すことがさう多くはありません。 

それでも面白いのは、小松先生の讀み方ですね。まづ、疑問がでたら、それは自分の頭が惡いからなどと考へないで、疑問として抱きながら讀み進んでいく點です。例へば。 

「むかしおとこうゐかうふりしてならの京かすかのさとにしるよしゝてかりにいにけり」

 「おとこ」が「うゐかうふり(元服)」の儀式をしたあと、どうして「奈良の京、春日の里」に出かけたのか。また、どうして狩りに出かけたと記されてゐるのか。なぜなら、そのあといくら讀んでも狩りをした形跡がないからです。このやうに、自分の抱いた疑問を大事にしながら讀み進んでいくことが、作品を理解するためには不可缺であることを敎へられます。すると、思はぬ解答が待つてゐました。 

 

今日の寫眞・・今晩の夕食のおかず、ではない、お料理です。なんと呼ぶか知らないが、もみぢおろしにつけて食べる、肉とその間の白菜が美味しい。

 

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