二月廿八日(日)庚辰(舊正月廿一日 晴

 

引きつづき終日讀書。佐伯泰英著「酔いどれ小籐次留書」シリーズの第十册、『薫風鯉幟』(冬幻舎時代小説文庫)を讀み上げ、さらに十一册目に入りました。

  

(*以下、十九日《國會議事堂をめざす》のつづきです) 

善光寺坂を下りきつたところが不忍通りでした。地下鐵千代田線でいへば根津驛の上ですね。 

通りの向かうは、こんどは上り坂、彌生坂です。つまり、左右(南北)に走る不忍通りは、「上野の台地、本郷の台地が、東西からながれくだった谷底に位置している」んです。またの名を根津通りとも言ひ、もとは、「藍染川がさらさらと、谷あいを縫って流れながら、夏は蛍の明滅を、無数に息づかせていた清流だったらしい」(杉本苑子著『東京の中の江戸名所図会』文春文庫)、と言はれても、まつたく想像もつきません。 

腹もきつくなりましたし、彌生坂なんてなんのそので、先日(十二月二十八日)訪ねた〈彌生式土器發掘ゆかり地碑〉を左手にながめやり、さらに上りきると、本郷彌生交差點、つまり中仙道に出ることができました。今日は蕎麦を食べたので、妻が敎へてくれた〈天扶良まるやま〉はまた次回の樂しみにして、左に曲がると、今日は開いてゐました。古本屋の第一書房さんです。歴史と宗敎、特に佛敎書が多いのですが、ちらりと見るだけにして、その先の喫茶店〈こころ〉に入つて、一時間ほど休みました。コーヒーは今一でしたが、店主のおぢさんおばさんが親切、といふか人がよくて、聞きもしないのに、こんどハチ公が東大農學部の門を入つたところに移されて來たんだよと、我がことのやうに敎へてくれました。(つづく)

  

今日の讀書・・佐伯泰英著「酔いどれ小籐次留書」シリーズ第十册、『薫風鯉幟』(冬幻舎時代小説文庫)讀了。 

 

今日の寫眞・・不忍通り、根津一交差點。彌生坂。〈彌生式土器發掘ゆかり地碑〉。左に入ると暗闇坂の丁字路。第一書房さん。喫茶店〈こころ〉。

 


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