三月二日(水)癸未(舊正月廿四日・下弦 晴

 

今日は母の晴舞臺。堀切地區センターで開催された、《南綾瀨高齢者クラブ連合會主催 第25回藝能大會》で歌を歌ふために出かけました。五十六名の方々が歌や踊りを披露する大會で、母は、大月みやこの「白い海峡」を歌つたやうです。

 考へてみると、ぼくは母の歌ふのを直に聞いたことも見たこともはありません。父も生前には一緒に參加してゐたやうですが、離れてゐたせうもあつてか、お互ひに干渉しないやうにしてゐました。ですから、父母が、近所の方々と社交ダンスを習つてゐたと聞いても、まつたく知りませんでした。そもそも、ぼくが家を出た二十二歳のときまで、家族で歌を歌ふなんてことはまつたくありませんでしたから、いつからか、父母がカラオケを歌ひ出したと知つてもまあ、冷ややかに見てゐたほどでした。

 六年前、東京に歸つて來てからも、父母が歌を歌ひに出かけて行くのを見送るだけで、ともにしたことはありません。いや、まつたく興味がないし、そもそもカラオケが好きではありませんからね。もちろん、雨の日には車で送り迎ひするていどの協力はしてゐます。正直に言ふと、母や父が歌を歌ふのを恥ずかしくてみてゐられないのだと思ひます。なんででせう?

 

まあ、そのおかげで、今日は妻と二人で食事に出かけることができました。例の弓道仲間で利用してゐる細田にあるそば所〈泉匠〉さんです。妻は、いつも送り迎へだけでしたから、いつか一緒にと思つてゐたので、やつと實現しました。妻はおかめうどん、ぼくは天せいろを美味しくいただきました。

 ところが、店を出たところで、妻が、ちよつとと言つて、駐車場ではなく、反對方向に歩きはじめたんです。どこへ行くのかときいたら、〈アルマ東京ティアハイム〉といふ舌をかみさうな名前の場所だといふのです。「處分される犬猫を引取・保護して新しい飼ひ主へ譲渡する活動を行つてゐる」、動物保護シェルターだといふので、二度びつくり。こんな住宅地のなかにあるものなのかと思ひながら探しましたが、やつと見つけたのは、ちよいと道路から引つ込んだおおきな建物でした(寫眞三枚目の左上の建物)。 

妻は、活動資金を援助してゐて、そば屋に行くならついでに訪ねやうと考へてゐたやうなのであります。それなら早く言へばいいのに、けつこう秘密裏にやることがあるんですよね。それはまあ、いいんですけれど。それで中を、外からですが、見せていただいて、新しいパンフレットやカレンダーなどをいただいて歸路につきました。

 我が家の責任範圍を果たすだけでも大變なのに、と思ふのですが、だからこそ資金援助だけでも協力したいのださうです。 

 

今日の讀書・・佐伯泰英著「酔いどれ小籐次留書」シリーズ第十三册、『野分一過』(冬幻舎時代小説文庫)讀了。 

 

今日の寫眞・・そば所〈泉匠〉さんと天せいろ。〈アルマ〉さんのはがき大の呼びかけ二枚。それと、ステレオ立體寫眞について二枚(興味ある方は必讀)。最後は、今日の立體寫眞二組。

 



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