四月九日(土)辛酉(舊三月三日 晴のち曇り

 

宮司の坂本さんからいただいた『神社暦』で、今日の暦を確認してゐたら、「舊ひな祭」の他に、「大神神社祭」と「笠間稻荷神社祭」が行はれたやうです。兩方ともつい最近訪ねたことがある神社だけに、ちよいと氣になりますね。どういふお祭りなんでせう。 

ちなみに、『神社暦』によると、ほとんど毎日、日本のどこかの神社でお祭りなどの行事が行はれてゐるんです。なんだか鄕愁をさそはれてしまひます。

 

それで思ひ出したんですけれど、「室の八嶋」のある大神神社の境内に、源宗宇(むねゆき)の歌碑がありました。そのときは、〈三十六歌仙〉の一人であり、『古今和歌集』にも入集してゐる歌人であるくらゐのことしか氣がつきませんでしたが、現在繼讀中の、『大和物語』にもご登場なんです。それもたびたびです。 

生年は不詳、天慶二年(九四〇年)十一月二十三日に歿した宗于は、ですが、光孝天皇の孫にあたり、式部卿・是忠親王の子でもあるんですけれど、源朝臣姓を賜与されて臣籍降下した、といふかされたんですね。それででせうか、『大和物語』に登場して身の不遇をかこち、自分の官位があがらないことを宇多天皇に嘆く話がいくつも載せられてゐます。 

でも、宗于さん、家集『宗于集』がありますし、『小倉百人一首』にも、「山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草も枯れぬと思へば」、が選ばれてゐます。でもまあ、よく味はふと、身の不遇を訴へてゐるやうにも思はれます。よほど官位に捕らはれた人生だつたんですね。

 

昨日家の中に入れて閉じ込めた寅ですが、朝起きたらどこに行つたのかわからなくて妻と二人で焦つてしまひました。ところが、よく探したら、ぼくの本棚の隅でちぢこまつてゐたんです。ベランダに出れば、三兄妹に追ひ出されるし、こんどだつて何日かぶりに少しやせて歸つてきたんです。觸ることは嫌がりますが、部屋に入つてくれたので、こんどは逃がさないで、家の中で馴れるまで居させやうと思ひます。猫用の寢床を用意したら、その中で静かにしてゐました。

 

今日の讀書・・半藤一利著『安吾さんの太平洋戰爭』(PHP文庫)、その〈付録 偽作『安吾巷談』 靖国の神々〉を讀みました。先日、國會議事堂をめざして歩いたときに、靖國神社について書いたので氣にかかつたからですが、この半藤さんの靖國神社批判は、ぼくよりづつと過激で、しかもその歴史しつかりとを踏まえた上での批判でした。ところが、書き方が上手なんでせうか、筆を押さへて、皮肉はたつつぷりですが、冷靜で説得力があるんです。ぼく自身とても勉強になりました、悔しいけれど、我が意を得たりで滿足でした。

 

今日の寫眞・・源宗宇さんの画像と今日の切り抜き。それに、半藤一利著『安吾さんの太平洋戰爭』(PHP文庫)と改造文庫版『大和物語』(昭和十三年發行)。おまけに、寅の新居?

 



コメント: 0