五月十八日(水)庚子(舊四月十二日 晴

 

今日の讀書・・九日、十日につづき慈恵大學病院へ通院しました。今日は主治醫に臨時に診ていただいたのち、首をかしげながら歸路につきましたが、それでも神保町參りをはぶくわけにはいきません。ちよいとのぞいたら、心の片隅にいつも顔をのぞかせてゐる宮武外骨さんの本を發見。それも、なんだか外骨さんに似合はないやうな書名で、『アメリカ様』なんて、どんな内容何だらうと頁をめくつたのが運のつきでした。 

すぐに買ひ求めて、讀みはじめ、面白くて、相づちを打ちながら。たうとう寢るまでに讀みあげてしまひました。内容はともかく、本書の宣傳文句だけ寫しておきませう。 

書名は、宮武外骨著『アメリカ様』(ちくま学芸文庫)です。 

「批判精神あふれる著作を絶妙なタイミングで出し続けたジャーナリスト宮武外骨。『アメリカ様』は東京裁判の開廷日一九四六年五月三日に刊行された。戦争にひた走った政府や無批判に隷従していった人々を痛烈に断罪しつつ、自らを〈半米人〉と名乘り、アメリカを褒め殺すことで、新たな主人にしっぽを振りはじめた日本人の姿を皮肉る。入獄四回、罰金・発禁二十九回という輝かしい記録を持つ外骨は、本書でGHQによる檢閲・削除命令を受け、日米両政府からのダブル弾圧という栄誉に浴した。」 

また解説の、西谷修の「『アメリカ様』と『強い日本』」は必讀だと思ひました。戰前戰後のことのみならず、現在のアベ政治のことを踏まへて書いてゐます。

 

歸路、讀みながらのんびり歸れるやうに、都營新宿線で船堀驛まで乘り、そこから新小岩驛行きの都營バスで船堀街道を北上、そして新小岩驛からは、京成バスで堀切まで平和橋通りをさらに北上して、ゆつたりと歸つてきました。初めての歸路コースなのに景色に目をやる間もなく讀みふけつてしまひました。 

そして、歸宅後、外骨さんの著書をすべてならべて、外骨さんの人生とその戰ひに思ひを馳せました。偉い人がゐたものだ! 

 

今日の《平和の俳句》・・「生きる意味押しつけるなよ俺探す」(十六歳男) 

 

今日の寫眞・・今日の新聞切り抜き。ノラのオトちやん。それと、職人にきていだだいて剪定した塀と庭木。塀の蔦なんか、ばつさりと切り拂ひ、もしぼくがやつたら母はきつと激怒したであらうと思ふほどです。さいごは、外骨さんの本の數々です。