六月十日(金)癸亥(舊五月六日 晴

 

今日の讀書・・またノラネコです。朝、一匹捕獲して、妻が病院につれて行きました。避妊處置のためです。人なつこい黒猫ですが、路上生活者のやうなのであります。ご近所に生息してゐたのを妻がみつけ、つれてこようとしたら、すでに我が家をねぐらにしてゐるネコたちが、威嚇して追ひ拂ふのであります。 

それで、そのご近所の方にわけをはなして、ねぐらといふか、寢床だけでも置かせてもらへるやうに話してゐるところのやうです。それとも、寅ちやんのかはりに、我が家の二階で飼ふことにするか、思案のしどころです。

 

そのネコを病院へ送り届けてから、妻と一緒に、明日行はれる中山はるさんの通夜の會場を訪ねました。はじめての道ですから、試しておきたかつたのであります。平和通りを南下し、船堀街道をさらに南に、そして葛西橋通りに出たら、葛西橋東詰交差點を右折して中川と荒川放水路を渡り、あとは一直線。明治通りに出る手前の左側に、「平安祭典」を確認しました。距離はありますが、とてもわかりやすいところでした。それでも、家から約一時間はかかりました。

 

それで、歸路ですが、途中、都營地下鐵新宿線の船堀驛で車からおろしてもらひ、一人で本八幡驛まで行きました。せつかくですから、山本書店でものぞかうと思つたからです。京成本八幡驛のホームに向かひ合つた道路沿ひには、廉價本の棚が竝んでゐます。その割にはいい本が多くて、そのうちとくに安い本を五册求めました。永井光永著『父荷風』、比屋根安定著『神佛の微笑』、鈴木一馨著『陰陽道』、それに、渡邊昭五著『浄土教と中世文学』と、三谷邦明著『入門 源氏物語』です。全部で二千圓でした。 

いやあ、それでも遠慮したのです。永井荷風の傳記本がそろつてゐたんですけれど、それは我慢して、荷風の地元ですから、永井光永著『父荷風』を求めたのです。荷風には子どもがゐなかつたはづなのに、變だなと思つて開いたら、荷風は從兄弟の子どもを養子にしてゐたんですね。これはめつけものだと思つて買つて歸つたら、面白くて夜更かしです。さあ、どこまで讀めるるでせうか?  

 

今日の《平和の俳句》・・「逃水(にげみず)や求め求めてなお平和」(七十八歳男) 

〈金子兜太〉 あるように見えて近づくと逃げてしまう幻の水。古く武蔵野の名物だった、逃げ水。平和に似ている。どこまでも追うぞ。 

 

今日の寫眞・・新聞の切り抜き。それと、家の塀に掲げたポスターを、寫眞の右下の文面のものにかへました。これなら、こんどの選挙後も意思表示として掲げておけるからです。 

それと、永井光永著『父荷風』(白水社)です。