八月十七日(水)辛未(舊七月十五日

 

昨夜もぐつすり寝られました。 

起床後すぐ採血三本。朝食はまあまあ食べられました。小さなパン二つとジャム、野菜サラダに野菜ジュースですから。 

要するに、おいしいかまづいかといふよりも、出された食事を見ても唾液が出てこないのでありますね。食欲を誘はないので、食べられないのであります。昼食と夕食が恐い。 

でも、二年前と四年前はこれほどひどくはなかつたと思ひます。どうしてなんでせう。 

 

午前中、珍しく回診があり、また担当医師と技師が来て、ペースメーカーを心不全が起こりにくいやうに設定しなほしてくれました。ええッと思ひましたが、逃げるやうにして去つていかれたので、その詳しい説明は聞きそびれました。 

また、管理栄養士の方が来られ、食事について、特に塩分のとりかたについて、妻とともにお話しをききました。 

さらに、今日予定日だつた心臟外科と内分泌科の「出前」がありましたが、ただ次回の予約を確認するだけで、こちらも急ぐやうにして去つてしまひました。次回の日にちは十月十二日で、内分泌科も同じ日にしてもらへさうです。 

それで、主治医に、なぜ心不全になつたか聞く間もなく、あとで、病棟の担当医師にお聞きしました。 

担当医師がおつしやるには、まづ、ペースメーカーを入れて調子はよかつたけれど、心臟が弱つてゐることをもつと考慮して、それに見合つた利尿劑が必要だつたのではないか。心臟が弱つてゐるところに、水がからだに溜まることで、より心臟の負担となつて心不全が起きたのではないか、といふことでした。 

その水がたまる原因が、塩分の取り過ぎだといふのですが、今までと同じやうな取り方で、しかも食べる量は少ないのですから、ぼくは、ちよいと疑問に思ひました。 

もう一つは、左手親指の炎症が、弱い心臓を刺激したことも考へられるとのことです。 

でも、明日の血液検査次第で、今週中には退院できると言つてゐました。 

 

まあ、テレビはつまらないし、本を讀むしかありません。風野真知雄著『耳袋秘帖』シリーズ第十三彈 『日本橋時の鐘殺人事件』 讀みあげ、つづけて第十四彈を讀みはじめました。