八月二十六日(金)庚辰(舊七月廿四日 晴、暑い

 

今朝の體重は、60・7キロ。終日あまり變はらず。 

今日も寢ながら讀書。ただし、からだがしんどいからではなく、重たい本なので、ベッド脇の壁から吊して讀んでゐるからであります。讀み流せないので、時間がかかります。 

 

今日の讀書・・梓澤要著 『百枚の定家』 繼讀。いやあ、勉強になる本です。ミステリーとはいへ、まるで歴史のお勉強です。舞臺は埼玉縣にある某私立美術館。その企畫展の目玉が定家自筆の百人一首「小倉色紙」でありまして、はたして入手した色紙の傳來と眞贋はいかに? 

その調査といふか眞贋確認のために、主人公の學藝員が奔走する内容で、それら各色紙の傳來やらを調べてみるとこれが面白い。鎌倉時代から戰國時代、いや江戸時代にいたるまでの有名人が續出。 

まづは、宗祇ですね。芭蕉が、『笈の小文』の冒頭で、「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の繪における、利休の茶における、其貫道する物は一なり。」と言つてゐる、その宗祇ですが、調べてみると、いやいや芭蕉などとくらべてもスケールが違ふ大きな人物であることを敎へられました。この宗祇が、百枚のうち五十枚の小倉色紙を持つてゐた事があるといふのです。どうして、何故と問ひたくなります。 

さらに、「戦国時代末期から江戸初期にかけて、小倉色紙はしきりに茶会でつかわれた。その茶会に出席して実際に見たという記述を、当時の茶会記や公家や僧の日記から丹念に拾い出すと、百件近くある。」とありまして、これらの行方を調査すること自體がミステリーといつてもいい内容です。 

そして、三條西實隆や古田織部、小堀遠州といつた文化人の經歴を紹介しつつ、定家自筆の小倉色紙とどう關はつたかなどが記されてゐます。單なるミステリーでない、歴史はもちろん、古筆や書畫骨董に興味のある人には堪へられない一册ですね。 

 

今日の寫眞・・森さんが送つてくださつた、埼玉縣立歴史と民族の博物館で開催中の 〈特別展 高麗郡一三〇〇年〉 の圖録、その他の資料です。ありがたい。 

それと、今度開催する、弟の「作品展」の案内です。今回は、住まいの近くのギャラリーで行ふやうです。