十一月十五日(火)辛丑(舊十月十六日 晴

 

今日の讀書・・今日は西新橋の慈恵醫大病院への通院日でした。昨日から讀みはじめた黒川さんの、『落英 上』(幻冬舎文庫) を持つて家をあとにしました。 

心臟外科では一月おきの診察でしたが、ペースメーカーを入れてからは女性のお醫者さんが主治醫です。それで、毎月受診できるやうにしていただいたのであります。はい。 

受付に行くと順番カードを渡され、それに從つて、血液檢査と心電圖檢査を受けました。檢査結果の出る一時間ほど待ち、珍しく予約時間ちやうどの一一時に、診察室に呼ばれました。先生には、まづ、毎日の血壓と體重と酸素量を記したノートを見ていただき、それと、今日の心電圖の結果を一緒に見たのですが、驚きました。不整脈がまつたく見られず、前回の心電圖とくらべても、實にきれいなと言ふか、整つた波形なのです。 

このところ、動悸と不整脈が氣になつてゐたので、いささか心配だつたのですが、あまりの正常さ(?)に、先生も喜んでくださいました。 

こんなことはじめてではないでせうか。といふことは、横になつてばかりゐないで、適當な運動が心臟にはいいのでせう。だいぶ安心して歸路につくことができました。 

 

それで、午後は、運動がてら、古本屋めぐりにくりだしました。大手町驛で東西線に乘り換へ、早稻田驛下車。まづはそば屋で腹ごしらへをして、早稻田大學のキャンパスで開催中の古本市をのぞきました。ここはけつこういい本が竝んでゐます。もつとも大學生相手ですからね。 

つづいて、構内をつつきつて早稻田通りの古本屋をめぐりましたけれど、めぼしいものはなく、ただ五十嵐書店で、室生犀星の、『犀星王朝小品集』(岩波文庫) と、やはり王朝ものの堀辰雄の、『かげろふの日記・曠野』(角川文庫) を手に入れることができました。ぼくは、堀辰雄はあまり好きではないのですが、これは、『蜻蛉日記』 を題材にしたものですから、迢空のお薦めを待つまでもなく、まあ讀む價値がありさうです。 

 

歸りは、五十嵐書店の前のバス停にちやうどやつてきた、九段下行きの都バスに乘り、まないた橋で下車。神保町の喫茶店で一時間ほど讀書し、五時になつたので外を見たら、まだ開いてゐないのです。「今荘」といふうなぎ屋さんです。訪ねやうとしてこれで三度目ですが、いつ營業してゐるのか確かめないといけません。それで、都營新宿線に乘つて船堀驛で降り、バスを乘り繼いで歸宅しました。 

 

今日の寫眞・・早稻田大學のキャンパスで開催中の古本市と、校庭の隅に見つけた、杉原千畝の碑。 

それぞれ一册一〇〇圓の、室生犀星著 『犀星王朝小品集』(岩波文庫) と、堀辰雄著『かげろふの日記・曠野』(角川文庫)。 

最後は、うなぎ屋の「今荘」さん。いつも暖簾がかかつてゐないのであります。