十一月廿七日(日)癸丑(舊十月廿八日 曇りのち雨

 

今日は、弓道で一緒にお稽古した齋藤さんと、やはり弓道で指導してくださつた中辻先生の繪展に行つてきました。先生は多才な方で、手先が器用といふのでせうか、繪を描いたり、工作したりして、ときたま自作の團扇や栞などをくださいました。 

場所は、北線の新柴又驛の近く、金町驛からバスで來られる齋藤さんと待ち合はせて訪問いたしました。「ギャラリーくう」は、線沿ひに江戸川の堤防に向かつて中間くらゐのところにある、キウイ棚のある「アトリエいなお」の一階フロアでした。 

先生とは久しぶりでしたのでご挨拶し、近頃では珍しい石油ストーブをんで、繪のお話を聞くなどして樂しく過ごすことができました。先生が昔書かれたといふ「寫經」がとくに面白く感じられました。齋藤さんと一緒に北綾のお寺に寫經をしに行つたことを思ひ出したからでもあります。 

齋藤さんとは、驛近くのレストランで食事をし、そこで別れました。しかし、このまま歸つたのでは、運動になりませんから、バスで小岩驛まで行き、總武線で高圓寺まで直行しました。西部古書會館で開催中の古本市を訪ねるためです。

 

最近になつて、古本市を回つてゐると、それ以前に見かけた本がよくあることに氣づきます。きつと、つた本、といふより古本屋が次々に開かれる古本市に出店するのでせう。ときにはより安い値段がつけられてゐたりします。でも、氣づいたときに求めておかないと後悔することは必至なので、よほど高でなければ手に入れておかなければなりません。 

そのあと、荻窪驛まで足を延ばし、數軒の古本屋を訪ねました。岩森書店では、小林勇著『彼岸花』(講談社文芸文庫) と、先ほど話題になつた「寫經」にちなんで、ふと目についた 『良寛和尚書般若心經』 を求めました。ささま書店もまたいい本が揃つてゐる古本屋で、なんでも、買ひ上げた本を六十五歳以上の人には無料で送つてくれるといふのです。そこで、ほしい本があつたからでもありますが、そのことを聞きただしたら、いへ、杉竝區内の方だけですといふのには、がくりときてしまひました。おしまひ。 

 

今日の讀書・・昨日讀みはじめた、小林勇著『蝸牛庵訪問記』(講談社文芸文庫) を持ち歩きながら讀みました。なんとも懐かしい世界につれていかれるやうなところが魅力です。それで、つづくエッセイ集 『彼岸花』 も求めてしまひました。 

 

今日の寫眞・・「ギャラリーくう」にて。展示してゐる先生の繪を背景にして。中辻先生書の 「般若心經」の寫經。『良寛和尚書般若心經』。