正月六日(金)癸巳(舊十二月九日・上弦 晴

 

今日は初詣でならぬ、今年初の古本散歩に出かけました。 

ネットの「日本の古本屋」を見ますと、〈古本まつりに行こう〉といふコーナーがあつて、東京の古本まつりのみならず、全國の古本まつりが案内されてをります。横濱、廣島、京都、大阪等々、土浦と所澤は定期的にです。できればあちこち飛び回りたいのですが、遠くに行けば一日二日でみさうもないし、お小遣ひにも限りがあります。でも、その場所といふか地方ならではの出版物もありまして、けつこう魅力的なのでありますね。 

そこで、今日は、まづは初詣、神田の東京古書會館の〈下町書友會〉の即賣店を訪ね、それから、宇都宮に行くことにしました。 

古書會館では、地下にもぐり、カバンを預け、會場に入つたところで、なんと、ごぶさたしてゐる靑戸の竹内書店さんにお會ひしてしまひ、新年のあいさつをかはしました。といふわけではないのですが、竹内書店さんのコーナーでは、古典文庫の複製本、『武道傳來記』 と、今日の寫眞にあるやうな挿繪の入つた、「元禄好色草子集Ⅲ」を見つけました。それで、人いきれで苦しくなつてきたので、早々に退散し、晝食は成光さんのラーメンをいただいて、水道橋驛に急ぎました。 

 

さて、つづいて、栃木縣は宇都宮の東武宇都宮百貨店で本日開催の 「東部古書の市」 を訪ねました。新幹線を使ひましたので、一時間もかかりません。宇都宮は、日光街道で歩いたところですが、JRも東武も驛ははじめてで戸惑つてしまひました。よく分からないで來てしまつたのですが、JR驛から東武宇都宮百貨店のある東武驛までけつこう距離があるんですね。で、驛前からバスで向かひました。 

でも古本市は充實してゐて、掘り出し物がありましたのでるんるんです。『幸田文随筆集―父・こんなことー』(角川文庫)は探してゐたものの一册で、ここには、「菅野の記」と「葬送の記」が入つてゐて、小林勇さんの 『蝸牛庵訪問記』 とくらべてみたいのであります。 

歸りは、東武鐡道でもよかつたのですが、それでは宇都宮の街を見ずにあとにしてしまふので、百貨店の前からはじまるオリオン通りを驛方向に向かつて歩きました。すでに暗くなつてきまして、人通りは少なく、さびしい繁華街でした。今日上弦の月でしたので薄暗い夜空を一枚。 

また、せつかくですから餃子を食べて歸りたいと思ひ、驛前でいただいたのですが、それが生焼けのやうで、ぱりつとした花の銀座天龍の餃子が懐かしく思ひ出されてしかたありませんでした。それででせうか、電車の中ではお腹が痛くなつてきて、たいそう苦しんでしまひました。 

 

今日の讀書・・行き歸りの電車の中で、『伊勢物語』 を何段か讀み進みました。かういふ場合、解讀不能のくづし字は想像するか、後回しにしておきます。 

 

今日の寫眞・・宇都宮近くからながめた筑波山。「東部古書の市」會場。それと、オリオン通りと生焼けの餃子。さいごは、求めた本の數々。