二月廿五日(土)癸未(舊正月廿九日 晴

 

今日は古書掘出し漫歩に出かけました。體を動かさないと、このままかたまつてしまふのではないかといふ思ひが、近頃しきりに脳裏に去來するからであります。 

といふのも、なんだか最近一日中横になつてゐたい誘惑にかられるんです。せめて、古書掘出しの欲求にでもすがらなければといふ思ひで、出かけてまゐりました。 

まづ、いつものやうに、新御茶ノ水驛から東京古書會館へ。さう、今日は“GRⅡ” も一緒ですから、心強く、見慣れた風景に藝術性を求めて、氣がついたら何度もシャッターを押してゐました。いやあ、けつこういけるものです。

 

それで、古書掘出しですが、珍しい和書の掘出し物がひとつありました。といつても、大正年代に印刷發行されたものですが、横山重さんの 『書物捜索』 に刺激されたのでせうか、「種々の代表的古版假名草子の複製標本を網羅」(卅一册)したといふ内容に目が釘付けになつてしまひました。題して、『假名草子 上』・『かなさうし 下』 。 

今までだつたら、興味半分で、くづし字の參考になるかななどと思ふところなのでせうが、いくつもの原本(寫本や印刷本)から本文を確定するまでの、横山さんをはじめとする學者たちの苦心惨憺たる努力のたまものであることを知つてからは、その絶大なる價値を思はざるを得ません。また、變體假名のバリエーションのオンパレードですから、くづし字の勉強にもこれ以上ないテキストであります。

 

また、高圓寺の西部古書會館にも行きましたが、こちらは初日なのでだいぶ込み合ひ、そのわりには、いや、横山重さん校訂の 『室町時代物語大成』(角川書店) の第一、三卷がそれぞれ五百圓で入手できました。これがどんなに破格かは、ネットで調べれば一目瞭然です。本自體もきれいで、内容も面白さうです。 

 

今日の讀書・・出かけるのに、『宇津保物語〔前田家本〕』(古典文庫) を持ちました。これは、翻刻されてゐる本で、くづし字の勉強にはなりませんが、くづし字本を讀んでゐても、物語の流れがつかめなければ讀んだことになりません。もつとも、翻刻版にしても、すらすらとはいかないのでありますが、意味を汲む練習にはなるでせう。でも、辭書がないとやはりむずかしいです。 

 

今日の寫眞・・本日求めた 『假名草子 上』・『かなさうし 下』。ココのあしの注目! 

『宇津保物語〔前田家本〕』(古典文庫) と 『訪書の旅 集書の旅』(日本古典文学会編)。後者は、「訪書・集書の想い出」、「研究の思い出」、「古写本発掘」の三章からなつてゐて、學者・研究者たちの苦勞話が滿載です。 

“GRⅡ” で試しに撮つてみた寫眞。