三月廿三日(木)己酉(舊二月廿六日 曇りのち晴

 

今日は、成田書道美術館に行つてきました。成田山の境内を通りぬけたその裏側になりますから、驛からけつこうありました。前回、母と訪ねたときには、その途中までしか行かなかつたところでした。 

はたして、實に大きな美術館でした。建つ場所も景色もいいですね。ですが、中に入つてみたら、なんとなく落ち着きません。何ででせう。展示する作品にたいして、建物が大きくて廣すぎるからでせうか。 

さう言へば、展示された作品は、多くはかな文字作品でしたが、床の間に飾るよりもずつと大きなものばかりで、それが六十數點。かな文字作品としてこれでいいのだらうかとちよいと思ひました。 

ところが、會場の片隅のところに數點展示されてゐた藤原行成の古筆の前に立つたら、ほつとしたのですね。肩から力がぬけた、そんな感じでした。小さな文字です。遮るガラス板を通して、からうじて讀めるくらゐで、みなさん素通りしてしまふのではないかと思はれる地味な展示でしたけれど、ぼくは見入つてしまひました。 

ふり返つて、出光美術館の展示場は、薄暗くて天井も低く、いスペースでしたから、とても落ち着いて鑑賞することができました。 

それにしても、かな文字作品はせめて半紙ほどの紙面でいいのではないでせうか。大きすぎては不自然だし、文字といふより造形作品になつてゐますね。だから、見るはうも力んでしまつて、肩がこるといふものであります。 

ぼくも、かな文字を學びたいと思ひながら、なかなかいいところが見つかりません。でも、ちよいと心當たりがあり、期待してゐるのでありますが、どうなるでせう。

 

歸りは、參道にたちならぶうなぎ店のなかから、ひときは人氣を誇る川豐さんに入りました。いや、はじめからうなぎが目的だつたわけではないんですが、店先で割いて燒いてゐる、そのかうばしい煙につつまれたら、もうだめ! 吸ひ込まれてしまひました。 

また、相席になつた方が、鯉のあらひを食べてゐたので、失禮でしたが、寫眞を撮らせていただきました。もちろん、ベルリンの愛ちやんへのプレゼント用です。 

 

今日の寫眞・・成田山のうなぎ特集。豐さん全景と店内、割いてゐるところ、燒いてゐるところ、そして目の前に出されたうな重と合席の方の鯉のあらひ。 

それと、成田書道美術館の外觀。 

「成田山開基1080年祭記念大開帳」なんていふ掲示。一〇八〇年前と言つたら、平將門が立ち上がつた頃です。その調伏のために建てられた寺ですからね、將門ファンとしては、ほんとはうなぎなど食べに行つてはいけないのであります!