四月七日(金)甲子(舊三月十一日 曇り、時々小雨

 

今日は、妻と再び篠田桃紅さんの作品展を見に行きました。場所も同じ、ホテルオークラに隣接した、江戸見坂の上にある、〈菊池寛実記念 智美術館〉です。今回は、《篠田桃紅 昔日の彼方に》展といふことで、「旧作の絵画や書、リトグラフ」などを觀ることができました。が、ぼくにとつては、「書」が面白く感じられました。 

とくに、會津八一の歌を描いたのはいいなと思ひまして、そつと撮影させてもらひました。あまりよく撮れなかつたのは、ご愛嬌です。

 

あめつちに われひとりゐて たつごとき このさびしさを きみはほほゑむ」 

 

『鹿鳴集』の中の歌です。これは、奈良、法隆寺夢殿の救世觀音によせて詠はれた歌で、目の前の觀音像の、はるか向ふからそそがれる 「ほほゑみ」 に、自分といふ存在にたいする肯定を見た、さういふ歌です。ぼくなど、ああ、これが宗敎といふものなのだなあと感じてしまふすばらしい、といつてもそつと胸にしまつておきたい歌であります(『歴史紀行十四 中仙道を歩く(四) 大宮宿~桶川宿』(二〇一三年四月十日)參照)。

 

往路は日比谷線の神谷町驛から歩き、復路は銀座線虎ノ門驛まで歩き、銀座に出て、松屋でアスターの焼きそばをたべました。が、それからは妻とは別行動。神田の東京古書會館と高圓寺の西部古書會館のはしごをしてしまひました。 

 

今日の寫眞・・〈菊池寛実記念 智美術館〉にて。