四月十日(月)丁卯(舊三月十四日 曇天

 

今日の讀書・・今日も、『落窪物語 卷之三』 を繼讀。このところ、活字本よりもくづし字本をより多く讀む日々がつづいてをります。まあ、讀む分量は比較になりませんが、意味をたどりたどり讀んでいくと、平安時代の貴族社會が眼前に廣がつてくるやうです。 

とにかく、今月二十二日開講の、《源氏物語をよむ》 までに、『落窪物語』 を讀み終はらせ、せめて、「桐壷」をくづし字で讀んでおきたいのであります。 

それなのに、湯冷めしたとは思へないのに、ゆうべから咳がではじめて、今日はおとなしく、いや、いつもと同樣に蒲団にくるまつて、首と手先だけを出して讀書に耽つてをりました。 

 

ところで、《古典講読「むかし語りへのいざない~宇治拾遺物語~」》 の最終回が先週の日曜日にあつたばかりですが、昨日四月九日からは、古典講読「お伽草子」への誘い》 がはじまりました。 

わるい習慣ではないので聞き續けようと思つてゐます。それで、朝の六時から聞きましたが、やはりなんていつても、伊東玉美先生の聲とその話し方がぼくは好きだつたので、男性講師の聲では奮ひ立ちませんね。まあ、これは仕方ない事ですけれど、内容的にはとても興味深くてやはり魅力的です。 

解説は、徳田和夫先生。朗読は同じく、加賀美幸子さんです。 

なんと言つても 「お伽草子」 の影印本はかなり集めたので、それを役立てたいと思つてゐます。ただ、第一回を聞いたかぎりでは、學んでいくテキストが示されませんでした。 

それで、ネットの 古典講読「お伽草子」への誘い》 をのぞいたら、五十二回にわたり、三十話ほどとりあげるやうです。

 

*補注・・《古典講読「お伽草子」への誘い》 NHKラジオ2 (土)17:00~17:45 、再放送(日)6:00~6:45 解説:徳田和夫(学習院女子大学教授) 朗読:加賀美幸子(NHK 元アナンサー) 

〈ねらい〉 室町時代(15 世紀)から江戸時代初期(17 世紀)にかけて、たくさんの短編物語が出現しました。優に400 種を越えています。これをお伽草子(室町物語)と呼んでいます。 

テキストは多くが絵巻や、奈良なら絵本えほんと呼ばれる絵入り写本で作られ、江戸時代には絵入り版本として出版されました。 

お伽草子は、物語文学の系譜に位置づけられます。いっぽうでまた、説話文学とも層を重ねています。それまでの貴族の恋物語を受け継いだ作品群―公家物語のほかに、新たな題材やテーマもあつかった豊かな物語群です。 

武家の時代となったことに連動して武家・英雄物語があり、中世は広く仏教が浸透して高僧や稚児、寺社の由来をものがたる宗教物語が編まれ、庶民が才覚と技能で頭角を表わしたように庶民物語も登場しました。また、動物・植物が人間と同じように恋をし、和歌を詠み、戦いくさをし、発心ほつしん出家しゆつけするという異類いるい物語も創られました。さらに、外国や想像上の世界を舞台とした異国・異郷物語も生まれました。なかにはファンタジーというべき物語や、個性的な女性をものがたる作品、さらに妖怪絵巻もあります。そして、当時の民間伝承(昔話・伝説)を読み物に仕立てたものが多いことも注目されます。 

作者は貴族、僧侶、連歌師が想定されます。読者は公家、武家の成人ですが、一部の作品には富裕な庶民が考えられ、また年少者も親しんできました。総じて、さまざまな喜び、哀しみ、笑い、願い、奇跡にあふれており、現代に通じるロマンが展開しています。本文を味わいつつ、物語の面白さに遊んでみませんか。 

〈内容〉(案) 『一寸法師』、『物くさ太郎』、『猿源氏草紙』、『弥兵衛鼠』、『おようの尼』、『横笛草紙』、『天稚彦草紙絵巻(七夕の本地)』、『小町の草紙』、『唐糸の草子』、『梵天国』、『御曹子嶋渡り』、『毘沙門の本地』、『浦島太郎』、『俵藤太物語』、『諏訪の本地(甲賀三郎物語)』(『熊野の本地』)、『弁慶物語』、『酒呑童子』、『小敦盛』、『三人法師』、『鼠の草紙』(鼠の権頭)、『文正草子』・『七草草紙』、『烏鷺合戦物語』、『大黒舞』・『貴船の本地』、『ささやき竹』、『転寝草紙』、『かざしの姫君』、『鉢かづき』。以上三十話ほど。 

 

今日の寫眞・・篠田桃紅さんの作品展の歸り道。「江戸見坂」と、たまたま通りがかつて見つけた、兵士をむざむざと大量に死なしめた憎き乃木希典の「乃木邸跡の碑」。