四月十三日(木)庚午(舊三月十七日 晴

 

今日の讀書・・昨夜は咳がひどく出て、疲れてゐるはづなのに、なかなか寢つけず、そのつけが今日一日中におよび、だらだらうとうと、どうにか懸念の一册は讀みあげましたが、まともな讀書はできませんでした。 

その懸念の本とは、塚本邦雄著『十二神將變』(河出文庫)です。この本は、はじめ「旧字旧カナで単行本として刊行」されたですが、本文庫では舊假名をとどめるのみ、漢字は現行の簡略文字に變へられてゐます。それでも根氣がつづかなけれ讀めなかつたでせうね。その根氣の根據が何かといへば・・・ 

短歌のはうはぼくの苦手の世界ですけれど、塚本邦雄さんの著作をはじめて讀んだのは、『國語精粋記―大和言葉の再發見と漢語の復權のために』(講談社) でした(一九七八年)。以來、ぼくの表記の仕方はこの本に依據してゐると言つても過言ではありません。帶には、「地名・人名・詩歌・外來語を素材に、古事記から村上龍まで、國語の盛衰と精粋を、つぶさに檢證した異色日本語論。獨自の言語美學が織りなす大和言葉と漢語への哀惜と頌歌」、とあります。 

それにしても、『十二神將變』は、「歌人塚本邦雄が書いたミステリー…ですが、謎解きより、耽美な程に 濃密な人間関係・日常の描写・仏像の講釈等々に酔いしれて、何度でも 読み返してしまいます」、とネットの感想にある通りです。 

また、ぼくは、ときどき自分の表記が正しいかどうかたしかめなが讀むことにしてゐるので讀み通せたのでせう。それにしても奇抜な漢字使ひです。 

 

今日の寫眞・・昨日古書店で買ひ求めた文庫本二册と、塚本邦雄著『十二神將變』・『國語精粋記―大和言葉の再發見と漢語の復權のために』。 

それと、昨日訪ねたけれど準備中だつた「書道美術館」。ネットによりますと・・「東武東上線ときわ台駅のほど近くに建つ博物館。名前のとおり、書道の美術館です。昭和48年に開館し、古筆、近代書道の名家、現代書道家の作品や人形、漆芸、陶芸、絵画などおよそ5,000点を収蔵。 特別展も行われ、他に、書道の講座も開かれている。」