五月十五日(月)壬寅(舊四月廿日 曇天

 

今日の讀書・・昨夜おそく、永井路子著 『この世をば(上)』(新潮文庫) を讀み終はらすことができました。實に よく書けてゐます。微に入り細をうがつとはこのやうな内容を言ふのでせう。「歴史」の永井さんの面目躍如といつたところです。 

平安貴族のなかで、しかし、藤原道長は好きではありませんでした。が、『源氏物語』 を讀むにあたつては學んでおかなければならないことが多く、はづすわけにはいきません。それで、定評ある永井さんのこの著書を選んだのですが、たしかに適切だつたと思ひます。 

『小右記』(藤原實資の日記) の著者、實資(さねすけ)を「意地悪評論家」として登場させ、實資をして道長を批判させてゐるところなんて、ぼくはうまい、と思はず膝をたたいてしまひました。永井さんの道長評を直に聞くより、より當時の道長の立場や政策や生き方がよく描かれてゐて面白いと思ひます。 

つづいて、『この世をば(下)』 に入りました。 

  

今日の寫眞・・結婚と同時に西宮市に移り、明日香村の石舞臺古墳(一説に蘇我馬子の墓)を訪ねたときの記念。それから四十四年。