五月十九日(金)己亥(舊四月十七日 晴 

 

今日の讀書・・反町茂雄著 『天理圖書館の善本稀書』(八木書店) が讀み終はりました。横山重さんの 『書物捜索』 につづく書物搜索ものでしたけれど、これはこれは個人の手には負へない次元の蒐書事業でありまして、モー國のお寶ですね。 

特に、「神道の家元とも云うべき京都の吉田子爵の藏本」 と 「九條公爵家藏本」 が賣りに出されたときの樣子にはただただ驚くばかり。せめて展覽會におうかがひしたいと思ふのみであります。 

さらに、この手の搜索本に關して、反町茂雄著 『一古書肆の思いで 1 修行時代』(平凡社) を讀みはじめたいと思ひます。 

 

さて、明日は、學習院さくらアカデミー、《源氏物語をよむ》 第三回講義です。先週と同樣、「桐壺」の豫習をしました。 

ついでに、平安時代のこの時期に關する參考書を廣げてみたら、けつこうありますね。『源氏物語』の直接の參考書としては、讀みかけの、三谷邦明著『入門 源氏物語』 と藤井貞和著『古典講読シリーズ 源氏物語』 がありますし、角田文衞著『紫式部の身辺』 とか、横尾豐著『平安時代の後宮生活』、それに、米山千代子著『王朝の女系圖』 と、阿部光子著『悪霊の左大臣』 に、杉本苑子著『散華 紫式部の生涯』 も面白さう。 

でも、基本に歸つて、『日本紀略 第三(後篇)』 のつづき、圓融天皇からの部分を讀まなければなりません。圓融、華山、一條、後一條までで、『日本紀略』 はおしまひですから(引き續き、『百錬抄』 にバトンタッチ)、六國史以來の讀書を完了させてしまひたいです。まさしく、藤原氏が榮華を極めた時代ですね。 

それには、槇野廣造著『平安朝日誌』 の三部作(九七〇年代・九八〇年代・九九〇年代)が參考書としてはふさわしいやうです。 

七月まで行はれる、「桐壺」 講義の間にこれらが讀めたら、以下の讀書のためのいい下地になると思ふのですがね。まあ、せめて 『日本紀略』 だけでも終はらしたい。 

 

それにしても、妻の状態も、我が身の状態も、決していいとは言へず、まあ、元氣な母が退院してくるまでにはどうにか通常の生活が送れるやうにしておきたいです。

 

今日の寫眞・・反町茂雄著 『天理圖書館の善本稀書』 の口繪より。