六月廿日(火)戊寅(舊五月廿六日) 晴
梅雨にしてはよい天氣がつづいてゐるし、丸谷さんの本も一段落したので、そろそろ、《東京散歩 じゆんの一歩一會》 を再開しなくてはならない思ひに滿たされました。四月二十五日に、〈隅田川・あらかわ遊園〉コースを歩いてから、だいぶ月日がたつてしまひました。一二〇コースのうち、やつと五コースを滿たしただけで、あわてはしませんが、週に一度は歩けるかなと思つてはじめたのですから、健康維持のためにつづけたいと思ひます。
幸ひ今日もよい天氣になりさうです。明日は雨のやうですから、思つたが吉日です。出かけてきました。
ガイドブック、『東京山手・下町散歩』(昭文社) による 《東京散歩》。今日は〈コース番號6〉です。
コース名と内容にはかうあります。「鉄道探訪 尾久・荒川車庫 王子駅~尾久駅 京浜東北線を田端操車場、尾久操車場とめぐり、都電に向かう鉄道見学コース。東北・上越・長野新幹線がずらりと並ぶ光景は鉄道ファンでなくとも十分楽しめる。〔所要〕2時間」。
スタート地は、またまた王子驛です。町屋驛から都電でまづは向かひました。都電を降りて、ほとんどのみなさんは、JRの驛のはうへ向つて行きましたが、ぼくは、ここで萬歩計を確認し、輕くからだをほぐしてから、都電の線路に沿つてもどるやうに歩きはじめました。時間は一〇時四五分。
すぐに左に曲がつてゆく都電の線路とわかれ、なほもJR線に沿つて歩いてゆくと、大きな跨線橋が現れたので、ガイドブックのコースに從つて上つて行きました。ばかに大げさな跨線橋ですが、東北・上越新幹線の下をくぐり、宇都宮線・高崎線、京浜東北線を跨ぐとあつて、このやうな嚴重な鐵柵で蔽はれた作りになつたのでありませう。
おや、上りきると、ひとりのおぢさんがカメラを据えて構へてゐるではありませんか。さういへば、ガイドブックに 「新幹線走行を望む跨線橋」 と記されてゐました。はたして、列車が近づいてきましたので、ぼくもおぢさんの傍らで撮らせていただきました。おぢさんがゐなかつたならば素通りしてしまつたでありませう。かうして、散歩は一つひとつの出會ひの集積なのでありますね。
いやはや、まだ歩きはじめたばかりです。悟つたやうなことを言つてゐるひまはありません。渡りきつたあとは、再び線路に沿つて、こんどは崖上の道を歩きはじめました。ひつきりなしに電車や貨物列車、それに新幹線が通過して行きます。樂しいです。なにせ、これでも根つからの鐵道ファンですからね。ただオールドファンですから、最近は情熱を傾ける氣持ちが起きません。
そんなことを思ひつつガイドブックを見てみたら、神社と一里塚が目についたので、近くなので寄り道してみました。七社神社と西ヶ原一里塚です。日光御成街道一里塚で、本郷追分の次、日本橋からは二番目の一里塚ださうです。岩淵、川口、鳩ヶ谷、大門、岩槻を經て、幸手で日光街道と合流するのですね。將軍が日光東照宮に社參する際の専用街道だつたので、日光御成街道といふのださうです。
さういへば、日光街道を歩いたときに、〈日光道中・日光御成道合流点〉を通つたのをほのかに思ひ出しました。(つづく)
《東京散歩》 を梶原停車場でおしまひにしたのは、あとは尾久驛まで町のなかを歩くだけですし、尾久驛からだと交通が不便だからです。このあと、乃木坂まで行くつもりだつたので、都電で町屋まで行き、千代田線に乘ればそのまま乃木坂驛まで直行です。少し休むこともできますし、さあ降り立つて、めざすは、「ジャコメッティ展」。あれ、ところが、國立新美術館の入口のシャッターが閉じられてゐます。よく見たら、火曜日が休館日だと書いてあるではないですか。これはないですよね。ルール違反ではないでせうか。月曜日の昨日出かけなかつた理由の一つは、月曜だと休館だなと思つたからなのに、だまされた思ひです。
くやしくて、折り返し神保町へ引き返し、夕食もいただいて、たつぷり見て歩いてきました。歸宅したら、それで一四三二〇歩でした。
今日の寫眞・・「新幹線走行を望む跨線橋」からの一枚と、西ヶ原一里塚。
火曜日が休館日といふ國立新美術館。その入口。普通休館日は月曜日なのに、どうして火曜日なのでせうか。責任者に出てきて説明していただきたい。ぼくだけでなく何人もの人が來てゐましたよ!
それと、出がけに屆いたビワ。巨大な大きさでびつくり! 北國街道でご一緒した館山在住のご婦人からの贈り物です。昨年はみかんでした。感謝。