七月卅一日(月)己未(舊六月九日・上弦 曇りのち晴

 

今日の讀書・・今日も終日、『源氏物語〈紅葉賀』 を黙々と讀みましたので、夕方には讀み終へることができました。すべり込みセーフでした。

明日からは、しばらく、『源氏物語』 の「引歌」についてお勉強です。學習院さくらアカデミーで、臨時にといふか、特別にといふか、《源氏物語をよむ》 の番外編として、《源氏物語の引歌について学ぼう!》 が、明日からもたれることになつてゐるからです。 

本來、「和歌」はぼくの守備範圍ではありませんが、『古今和歌集』 を讀みつづけてゐるところですし、行きがかりぢやう、なんて言つたら失禮ですが、この際學んでおきたいと思ひます。 

 

ところで、靑表紙本」の〈紅葉賀〉ですが、〈桐壺〉、若紫〉とつづけて讀んできて、おや、と思つたのは、くづし字の文字遣ひがちよいと違ふ點です。例へば、「す」は、今まで使用されたことがなかつた「壽」が使はれたり、「な」なんて、はじめ分からなくて、久しぶりに 『變體假名字體表』 を出してきて調べたり。きつと、寫本を寫した人が違ふのでせうね。 

それで、〈紅葉賀〉の卷の概略を、覺えのために、今回も記しておきたいと思ひます。 

 

主人公光源氏の十八歳の秋から十九歳の秋までの1年の出来事を描いた巻。 

朱雀院の行幸の準備として、宮中で試楽が催された。そこで光源氏が演じた青海波の舞は、見る者を魅了し、この世の物とは思えない。 

翌年、藤壺は出産し、桐壺帝は、最愛の息子である源氏に似て美しい若宮の誕生を喜ぶ。しかし、それもそのはず、藤壺が産んだ若宮は、源氏との間に生まれた不義密通の子なのであった。 

その危険極まりない状況の中、源氏は、好色な老婆、源典侍に興味本位で近寄るが、本気にされて、始末に窮する。源氏が典侍と床を共にした夜、頭の中将が源氏を少し脅そう企てて現れ、大立ち回りを演じ、典侍を驚愕させる。 

そうした日常の戯れとは対照的に、藤壺は后(中宮)に冊立され、事態は抜き差しならない状況になっていった。 

 

とまあ、光源氏の君は、十八、十九歳の男にしては、冨も地位も約束された人生であり、色好みを實踐することしか能がないとはいへ、今回は、ご老女、ものの本によれば、五十七、八歳とあります女性(?)とのお交はりをご實踐されたりして、まことに豐かなご經驗を積まれてをられます。 

また、一方では、これまた若造にしては、天皇のお后(藤壺)と交はり、不倫のお子までまうけられたりして、どうなつてゐるのでありませうと、ご經驗皆無のぼくなんか、想像もできません。はい。 

と、前册の〈若紫〉と同じやうな感想をもつて讀み終つたわけでありました。 

 

七月一日~卅一日までの讀書記録 

七月一日 柴田錬三郎著 『無念半平太』 (新潮文庫) 

七月三日 「横笛草紙」 (市古貞次編『御伽草子』 三弥井書店) 

七月四日 槇野廣造著 『古都千年物語 平安朝日誌 九八〇年代』 (白川書院) 

七月七日 柴田錬三郎著 『隠密利兵衞』 (新潮文庫) 

七月九日 宮内庁書陵部藏 靑表紙本 『源氏物語〈桐壷〉』 (新典社) 再讀 

七月十日 柴田錬三郎著 『弱虫兵藏』 (新潮文庫)  

七月十二日 黒川博行著 『喧嘩(すてごろ)』 (角川書店) 

七月十七日 柴田錬三郎著 『新編劍豪小説 梅一枝』 (集英社文庫) 

七月廿日 柴田錬三郎著 『貧乏同心御用帳』 (集英社文庫) 

七月廿四日 宮内庁書陵部藏 靑表紙本 『源氏物語〈若紫〉』 (新典社) 

七月廿七日 安西篤子著 『悲愁中宮』 (集英社文庫) 

七月卅一日 宮内庁書陵部藏 靑表紙本 『源氏物語〈紅葉賀〉』 (新典社) 

 

今日の寫眞・・今日のモモタとココ。ご一緒に膝にのり、いちやつかれると仕事になりません。それにしてもココちやんが可愛い。はじめから馴れてゐるモモタと違つて、ココはノラでしたから、觸れても逃げず、膝にのることができるやうになるまでには、日々のやさしい接觸が必要でした。