九月八日(金)戊戌(舊七月十八日 曇天のち晴

 

心臟には歩くのがいいと言はれても、出歩く體力とともに、その目的がなければつまりません。 

幸ひ、目的は、古本屋めぐりがさうですし、ガイドブックに從つて歩くのもさう、そして圖書館通ひに、美味しいものを食べ歩く、目的がたくさんありすぎて、むしろ自制しなければならないほどです。まあ、どれもこれも非生産的なわがまま散歩ですので、自慢できるものぢやあありませんが、どうにか歩き回れるのは體力がそなはつてゐるからで、まことに僥倖だと言はざるを得ません。 

それで今日は、神保町の古書會館に、所澤の古本まつりに、さらに町田の馬刺しをめざして足を伸ばして來ました。歩いた歩數も、七八〇〇歩でした。 

 

収穫は、飯田季治著 『和歌秘傳鈔』 (畝傍書房) と 日本名跡叢刊 『三條西實隆 源氏物語抄』 (二玄社) でした。前者は八〇〇圓、後者は五〇〇圓。とくに、三條西實隆さんは、『実隆公記』(註) の著者ですし、學習院大學に多くの貴重な寫本を譲られた舊家の先祖です。それで、この 『源氏物語抄』 は、その實隆さんが晩年に、人の求めに應じて 「抄寫」 したものなんですね。假名文字は、時代だからでせうか、骨太の、ほとんどかすれもない、墨もたつぷりの筆で讀みやすいです。 

 

註・・『実隆公記(さねたかこうき)』 は、室町時代後期の公家、三条西実隆の記した日記。期間は、文明6年(1474年)から天文5年(1536年)までの60年以上に及ぶ。同時代の一級資料。記述は京都の朝廷、公家や戦国大名の動向、和歌、古典の書写など多岐に及ぶ。自筆本が現存し、1995年(平成7年)に重要文化財に指定された。 

 

今日の寫眞・・所澤驛前、くすのきホール。と、その近くのラーメン屋。五目そばが美味しい。それと、飯田季治著 『和歌秘傳鈔』 (畝傍書房) と 日本名跡叢刊 『三條西實隆 源氏物語抄』 (二玄社)。前者は、細川幽齋さんの 『和歌秘傳抄』 とどう違ふのでせう?