九月廿七日(水)丁巳(舊八月八日 曇り

 

あ~あ、可愛いかつたのに、みんなゐなくなつてしまひました。ノラの子ネコのことです。 

八月五日に捕獲された親ネコを預かり、それが十七日の夜中に七匹の子を産んだのでした。その一週間後でしたが、ノラの避妊手術活動をつづけてゐる方が、別の所で、捕獲しようとしたノラが、實は出産したての母ノラであつたのでせう、捕獲しそこねたところ、五匹の生まれたての子を殘して逃亡してしまつたのです。

 

それで、急遽、我が家の七匹の母親ネコのもとに連れてこられ、一瞬にして十二匹を育てることになつたのです。母ネコはそれでも嫌な顔ひとつせず、乳をあたへてゐましたが、なにせ乳首は八つしかありません。どうしても落ちこぼれネコがうまれ、みるみる成長の差が現れはじめたのです。

 

その子ネコたち一匹一匹にスポイトで乳をあたへたりしましたが、結局、その後から來た繼子五匹と、實の子の小さい二匹を、母ネコとともにつれて、妻と協力しあつてゐる方が引き取つてくれたのです。七匹であれば、母ネコの乳首をみなが得ることができるであらうからでした。

 

さあ、問題は殘された五匹です。お皿から食事を食べられる子もゐれば、まだ自分で食べられない子もゐて、それで、妻が、ぼくも手傳はされて、お乳やらやはらかいご飯やらをあげてゐたんですが、それが可愛いのですね。動物嫌ひの、いやこれには人間もふくまれますが、その妻にしては律儀に何時間かおきに食事をさせてゐたのです。

 

でも、今日、突然、みなつれていかれてしまつたのです。もらひ手が見つかつた子もゐますが、あとは、ネットで里親を探すのださうです。それが專門といふか、得意な方がゐて、寫眞をとつたり、醫者に診せてワクチン接種や檢査などをすませてから公表するのださうですけれど、別れのあいさつもできずに去られてしまつて、ちよいと、いやだいぶ悲しいです。

 

その悲しみを、ぼくは、讀書に向けました。そして、就寢までに 『源氏物語〈葵〉』 を一一四頁まで讀み進みました。あと數頁を殘すのみとなり、こんどの土曜日までに、いや明日には讀み終へてしまいさうです。

 

學習院さくらアカデミー 《源氏物語をよむ》 では、〈桐壺〉 につづいて、ぢき 〈帚木〉 に入ります。ですが、まづ 「紫の上系(十七帖)」 の讀破をめざしてゐるぼくとしては、 〈葵〉 の次には 〈賢木〉 を讀みたいのです。が、このはうはちよいとお休みにして、「玉鬘系(十六帖)」、これは短編集の寄せ集め的な物語群ですから、挿入的に讀む感じで、その最初の 〈帚木〉 を讀み出したいと思ひます。

 

靑表紙本」、くづし字がより柔らかになつてきて、〈紅葉賀〉 から 〈花宴〉、そして 〈葵〉 に至るや、俄然讀みにくいといふか、獨特な綴りになつてきましたもんね。まあ、だいぶなれてはきましたが、〈帚木〉 が樂しみです。 

 

今日の寫眞・・母親ネコと乳に群がる七匹。同じく十二匹の子ネコ。その他、寫眞に撮れた子ネコたちの思ひ出のために再掲載。