十二月廿九日(金)庚寅(舊十一月十二日 晴

 

今日の讀書・・今日は、年度末ですから、長らくお休みしてゐた、井原西鶴著 『繪入 好色一代男 四』 (複刻日本古典文學館) を讀み上げてしまひました。世之介君、廿八歳から卅四歳までの短編七編です。 

父親に勘當されても放蕩はやまず、諸國遍歴の結果、泉州沖で嵐にあひ、助けられたのは懐かしい我が家でありました。聞けば、父親が亡くなつた直後とのこと、全財産を譲り渡されたまではいいとして、「日來(ひごろ)の願ひ今なり。おもふ者を請出し、又は名たかき女郎のこらず、此時買(かは)ひでは」と、大はしやぎ。またとない大盡ともてはやされた、といふのですから開いた口がふさがりません。 

 

それで、〈賢木〉の卷は數頁、源氏と藤壺の宮の胸中を面々と語られるのにはうんざりです。藤壺も早く出家してしまへばいいのにどうしませう、どうしたらいいでせうかと、好い加減にせいと言ひたいです。 

 

今日の御詠歌・・二十八番の解説、二十八番、二十九番、二十九番の解説、(三十番の解説は宿題)

 


 

*昨日の宿題、二十八番の解説 

「第二十八ばん たんごの國よざ郡なれあい村 せや山(施谷山)なれあい寺(成相寺) 

本尊聖觀世音菩薩 御長一尺五寸 しんのう(眞應)上人かんとく(感得)にして□おん(無遠)法師(はうし)の開きなり」 

 

*第二十八番札所 

「廿八ばん たんごのくに なりあひ寺 

なみのおと まつのひゞきも なりあひの かぜふきわたす あまのはしだて」 

波の音 松のひびきも 成相の 風ふきわたす 天の橋立 

 

*第二十九番札所 

「廿九ばん たんこのくに まつのをでら 

そのかみは いくよへぬらん たよりをば ちとせはこゝに まつのをのてら 

そのかみは 幾世経ぬらん 便りをば 千歳もここに 松の尾の寺 

 

*二十九番の解説 

 「第二十九ばん たんごの國かさ郡まつを村 靑よう(靑葉)山まつのを寺 

本尊馬頭觀世音菩薩 御長四尺八分 開きゐこう(威光)上人かんどく(感得)なり」

  

〈今日の御詠歌〉もあと數回。明後日の大晦日には仕上げてしまひませう。 

 

今日の寫眞・・讀み終へた、『好色一代男(四)』 の最後の頁。引用した部分が記されてゐます。 

妻が長年所望しつづけ、やつと譲つていただいた、『枕草子』 冒頭の「書」。「刃物を研ぐ人」と同じ友人の書家の作です。