四月十九日(木)辛巳(舊三月四日) 晴、暑い

 

今日も《東京散歩》日和でした。しかし、この頃のコースは、すでに歩いたところが多く、ちよいと不滿です。今日のコースも、根津驛から鶯谷驛ですから、食傷氣味と言つても言ひ過ぎではありませんが、それでも歩かなくては、東京山手下町散歩・全一二〇コースの制覇は望めません。 

〈コース番號24〉のコース名と内容─「公園&自然探勝 上野の山 根津駅~鶯谷駅 上野公園周辺には美術館や博物館が密集しているが、見学は一ヶ所ぐらいに絞って、屋外の建物や名所を見て歩きたい。木陰の隱れたところに銅像や碑などがあり、散歩が楽しくなる。 〔所要〕5時間」。

 

いやはや、歩く前から、このコースは頭の中でたどれてしまふほどで、美術館や博物館の見學は端折つて、歩き通すことを目的に、地下鐵千代田線根津驛を一〇時三〇分にスタートしました。 

日差しの強くなつた彌生坂をのぼり、「彌生式土器発掘ゆかりの地碑」を左手に見て、次の丁字路を鋭角に左折すると、こんどは下り坂がはじまりました。暗闇坂です。右手は東京大學のレンガ塀、彌生美術館・竹久夢二美術館を通り過ぎ、坂を下りきつたところで、寄り道しました。 

いへ、トイレではありません。この幅廣くなつた道路脇にはいつもタクシーが何臺も駐車してゐるのですが、それはここに公衆トイレがあるためで、ぼくも利用させていただいたことがありますが、今日は、そこで左折し、正慶寺の門をくぐりました。さう、『源氏物語湖月抄』 を書いた北村季吟のお墓再訪です。しばらくお休みしてゐますが、『源氏物語』 を讀みかけてゐることを忘れないためでもありました。

 

次いで不忍通りに出、上野公園方面へ抜けるために、上野動物園の池之端門から入りました。ところが、ふだん見る氣もしなかつた、キリンに、サイ、カバ、シマウマが面白くて、それに小獣館のある 〈子供動物園〉 を見て歩いてしまひました。それと、例の五重塔も眞下まで近づき、回りを一周して見學。江戸時代初期、寛永十六年(一六三九年)の建立で、發願者は土井利勝、「上野東照宮(旧寛永寺五重塔)」と言ふやうです。 

週日といふのに、園内は子どもをはじめ大勢の人で賑はつてゐました。あちこちから歡聲やら笑ひ聲が聞こえてくると、なんだかほつとした氣分になりましたね。 

表門を出ると、そこは上野公園。美術館、博物館をすべてパスし、京成電車の舊博物館動物園驛跡を右折すると、國際子ども圖書館がそびえてゐます。が、ここもパスして、寛永寺を訪ね、さらに境内なのか公道なのか、廣大な墓地の脇を通つて鶯谷驛に到着。一二時四〇分。正味、七三六〇歩でした。 

 

まだお晝。動物園でたこ焼きを食べてきたので、池袋驛まで乘り、開催中の、〈第27回 池袋西口公園古本まつり〉 を訪ねてきました。掘出し物を期待しませんが、まあ、圖書館でながめるよりずつとお勉強になるし、あれこれ目に入る本によつて頭腦が刺激されて、新たな領域への關心も湧くといふものです。

 

それでも、弟と妹が來て一緒に夕食を食べることになつてゐたので早く歸宅しました。一日歩いて、一二〇〇〇歩でした。 

 

今日の寫眞・・キリンとサイ。五重塔と、國際子ども圖書館前に建つ小泉八雲像。寛永寺と池袋西口公園古本まつり。