九月十日(月)乙巳(舊八月朔日・朔) 晴のち雨

 

朝食後、デイサービスに行く母を見送り、齒醫者に通院。さうして一息ついてゐたら、珍しく妻が晝食に誘ふので、一緒に御徒町の中華そば屋に行きました。たまたま訪ねて美味しかつたからといふのでお供したのです。たしかにセットには餃子が二個ついてゐましたし、妻はタンメンセット、ぼくはやきそばセットを美味しくいただきました。 

食後は別行動。ぼくは、大江戸線と丸ノ内線を乘り繼いで池袋へまゐりました。《第28回 池袋西口公園古本まつり》 が開催中だつたからです。けれども、丹念にみたわけではありませんが、結局一册も求めることなく、ただ、乘り換へた本郷三丁目驛の大學堂書店で、影印本の、上田秋成著 『漆山本 春雨物語』(日本書誌学大系〈33 別冊〉 青裳堂書店) を掘り出したばかりでした。 

 

歸宅後、夕方まで、これまた妻が借りてきてくれたレンタルDVD 『トレイン・ミッション』 を觀ました。はらはらドキドキ、面白かつた! 

内容・・・10年間勤めてきた保険会社を、60歳で突如リストラされた会社員のマイケル。いつもの通勤電車で帰路につき、常連客に挨拶しながらも、頭の中は住宅ローンと息子の学費のことでいっぱいだ。そんな彼の前に見知らぬ女が座り、「乗客の中から、ある重要な荷物を持った人物を捜して欲しい」と持ちかける。ヒントは3つ。常連客ではなく、終着駅で降りる、プリンと名乗る乗客。高額な報酬に抗えず、元警官の経験を生かし捜し始めるが、駅の数だけ仕掛けられた罠に深まる謎、さらには、妻と息子が人質に取られたことを知る。やがてプリンが、国家をも揺るがす重大事件の目撃者であることを突き止め、ようやく6人にまで絞り込んだ時、巧妙に仕組まれていた恐るべき陰謀が明かされる。 

 

昨夜、たうとう夢枕獏著 『大江戸釣客伝()』 を讀み切つてしまひました。バクさんのは讀みやすいのが困つたものです。それはいいのでせうけれど、はまつてしまふと抜け出すことができなくなるんですね。これも面白かつた。 

ぼくは、釣りをしたことがありません。山暮しのはうが好きです。けれどこの物語は史實に忠實で、釣りが樂しいこと、「生類憐みの令」によつて庶民がどれほど苦しんだか、赤穂浪士討ち入りのこと等を學ぶことができましたし、それに、英一蝶の屏風繪 「雨宿り圖屏風」 が東博にあるやうなので見にいきたくなりました。 

内容・・・綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・朝湖(英一蝶)と俳人・宝井其角は江戸湾で屍体を釣り上げる。竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は

一方、旗本・采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となるが…。 

城勤めを辞したにも拘わらず「釣り船禁止令」のため釣りが出来ない采女は、釣道を極めんとしたという投竿翁の足跡を追う。赤穂浪士討ち入りで敬愛する義父・上野介を失う采女。そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる

綱吉の相次ぐ禁令発布に反抗した朝湖は三宅島へ島流しに。愚かで滑稽、しかしロマンと夢溢れる釣りに生きた、激動の元禄の男たち。第46回吉川英治文学賞、第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、3冠達成の時代小説。 

 

今日の寫眞・・・御徒町の中華そば屋と池袋の古本市