九月卅日(日)乙丑(舊八月廿一日) 曇天のち雨、臺風接近

 

『素龍淸書本 おくのほそ道』 の旅、酒田にやつてきましたが、〈最上川〉のくだりで、「いな船」が出てきました。 

 

〈最上川〉より・・ 「最上川は、みちのくより出て、山形を水上とす。ごてん・はやぶさなど云、おそろしき難所有。板敷山の北を流て、果は酒田の海に入。左右山覆ひ、茂みの中に船を下す。是に稲つみたるをや、いな船といふならし。白糸の滝は、青葉の隙々に落て、仙人堂、岸に臨て立。水みなぎつて、舟あやうし。 

  〈五月雨をあつめて早し最上川〉 」 

 

さういへば、昨夜のブラタモリで、酒田の米藏を紹介してゐたのでした。最上川を下る「いな船」で運び込まれた米が、酒田から「北前船」で大阪、江戸へと運ばれた、その集積地でたいへん榮えたさうでありました。

 

〈ブラタモリ〉より・・ 「かつて川を使って行われていた水運の痕跡。上陸して巨大な倉庫の中に入ると、そこには圧倒されるほどの量の米、米、米! 酒田は最上川流域の米を集め、西回り航路を通じて一大消費地・江戸に送り込む重要な場所だったんです。この航路を利用して発展したのが、北前船。米だけでなく、日本海側の優れた産物を流通させていました」 

 

さて、酒田を足掛かりに、歌枕と舊跡の地、能因、西行らが訪ねた象潟へと赴いた芭蕉一行ですが、旅はここから一擧に越後、越中、金澤へと飛ぶやうに進みます。といふより、「おくのほそ道」の旅は以上の訪問地ですんでしまつたやうな、あへて言へばあとはつけたりだつたやうな氣がしてしまひます。 

 

寢るまぎはに見たネットニュースで、沖縄の知事選擧の結果が報道されてゐて、なんと玉城氏が當選。あつく垂れこめた雲のあひだから輝く太陽の光が差し込んできたやうな爽快な氣分になりました。 

 

ニューズより・・・沖縄知事に玉城氏初当選 政権支援の佐喜真氏を破る 

沖縄県知事選が30日投開票され、前自由党衆院議員の玉城デニー氏(58)が、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3氏を破り、初当選した。最大の争点だった米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に、玉城氏は「反対」を主張してきた。県民は翁長雄志知事が当選した前回知事選に続いて、辺野古移設にノーを突きつけた形となった。 

 

 

九月一日~卅日までの讀書記録

 

九月二日 谷崎潤一郎著 「戀愛及び色情」 (『陰翳禮讃』 角川文庫 所収) 

九月四日 ポーラ・ゴズリング著 『負け犬のブルース』 (ハヤカワ文庫) 

九月八日 宮内庁書陵部藏 靑表紙本 『源氏物語〈末摘花〉』 (新典社) 

九月八日 『源氏物語忍草〈上〉』 (そのうち〈空蝉〉・〈夕顔〉・〈末摘花〉 勉誠社文庫) 

九月九日 夢枕獏著 『大江戸釣客伝〈上〉』 (講談社文庫) 

九月九日 夢枕獏著 『大江戸釣客伝〈下〉』 (講談社文庫) 

九月十五日 原 尞著 『それまでの明日』 (早川書房) 圖書館借用 

九月十八日 童門冬二著 『異聞 おくのほそ道』 (集英社文庫

九月廿一日 ジム・ケリー著 『逆さの骨』 (創元推理文庫) 

九月廿三日 マイクル・Z・リューイン著 『A型の女』 (ハヤカワ・ミステリ) 

九月廿五日 マイクル・Z・リューイン著 『死の演出』 (ハヤカワ・ミステリ) 

九月廿六日 車浮代・吉田豐著 『春画で学ぶ 江戸かな入門』 (前半のみ 幻冬舎) 

九月廿九日 マイクル・Z・リューイン著 『内なる敵』 (ハヤカワ・ミステリ)