十一月十六日(金)壬子(舊十月九日) 

 

今日も古本散歩に出かけてきました。運動は散歩にかぎります。古本との出會ひも期待されるので、心と身の健康には一番だと自分に言ひ聞かせて家を出ました。 

場所は五反田の南部古書會館です。三か所ある古書會館のうち、神保町(金・土)と高圓寺(土・日)はほとんど毎週開催してゐますが、五反田だけは月に一度だけしかやりません。それで、できるだけ訪ねることにしてゐるのです。 

ただ、十一月にはいつてから、すでに四日と十日と十四日の三度も出かけてをり、しかも収穫も多く、今日は散歩を重點にして歩きました。と言つても歩數が六七〇〇歩にしかならないわりにはいい本が見つかりました。

 

収穫は、まづ、宮川康子著 『富永仲基と懐德堂 思想史の前哨』(ぺりかん社) と、鈴木三著 『近世紀行文芸ノート』(東京堂出版)。前者は先月以來關心を傾けてゐる富永仲基についての論文集。後者は、五章あるうちの二章が、「千草日記を読む」と「千草日記の作者」といふもので、古典文庫で上下本の 『千草日記』 を手に入れて以來、長年氣になつてゐた疑問にこたへてくれるかも知れないと期待して求めました。それぞれが二〇〇圓なのもうれしいです。

 

それと、JC・デヴィソン、H・スタウト編 『讃美のうた』(日本近代文学館) といふ册子です。これは、「名著複刻 詩歌文学館〈紫陽花セット〉(2327冊 付録11冊)」 のその付録の一點一册であることがわかりましたが、すべて變體假名なのであります。讃美歌を歌ひながらくづし字を學べる、ではなく、くづし字を學びながら讃美歌を歌へるなんてなんといふ幸せなんでせう! 付録の「主のいのり」と「神の十誡」も變體假名ですよ!

 

ちなみに、この 『讃美のうた』 は、一八七四年(明治八年)に、メソジスト派の最初の日本語讃美歌集として作られました。編集者のジョン・キャロル・デヴィソン(1843年~1928年)は、明治時代に活躍したメソジスト派の宣敎師であり、長崎で、活水學院、鎮西學院などの創設に關はつたといふことです。尚、本書は、米國コーネル大學所藏の複製ださうです。これも二〇〇圓でした。

 

お晝は、例の 『広州市場』 で、ミニ・ワンタン麺をいただきました。 

 

今日の寫眞・・・『讃美のうた』 は、「主のいのり」の前半です。