十一月廿八日(水)甲子(舊十月廿一日) 晴のち曇り
今日の川野さんとの遠足は、京成佐倉驛にほど近い、國立歴史民俗博物館見學でありました。朝一〇時半に驛で待ちあはせて博物館まで歩き、見學したのはいいのですが、さすが見應へがあり、丹念に見て歩いたらだいぶ疲れました。この疲れは、先日のダムめぐりや街道歩きとはまた一味もふた味も違つた疲れで、心身共にこたへたといつたところです。
でも、さすがにすごい展示内容で、當初は企畫展だけでも見ればいいと思つたのですが、常設展も充實してゐて、まことに良い勉強になりました。
まづ、今回の企畫展ですが、《日本の中世文書―機能と形と国際比較―》 といふテーマで、中世の文書が二六〇點展示。これ、すべて本物ですよ! なかには借用できずに模造の文書もありましたが、その量と質の高さに壓倒されてしまひましたね。
かといつて、漢字だらけで漢文調の古文書なんて簡単に讀めませんが、時代がくだるにしたがつて、假名文字の文書も現れます。とくに、「平宗盛書状」はすべて假名、それに文字そのものがわかりやすく書かれた「結城直朝請文」なんて讀みやすかつた。また、「明阿弥陀仏屋地寄進状」は大部分が假名文字ですから、解讀の挑戰のしがひがありました。
「後醍醐天皇自筆書状」もあれば、「足利尊氏近習馬廻衆一揆契状」もあり、さう、ラテン語で書かれた「伊達正宗書翰」(これはヴァチカン・アポストリカ圖書館所蔵の本物!)などもあり、これらをめぐる歴史を思ふとめくらめく思ひがいたしました。
それと常設展です。それには腹ごしらへと、館内のレストランで、ぼくはじやじや麺を、川野さんは古代カレーだつたかをいただいて、心身を整へて新たなる挑戰にそなへました。
常設展のなかでも、〈先史・古代〉はリニューアル工事中でしたので、〈中世〉と〈近世〉を重點的に見學しました。これは以前にも見たはづですが、こちらの受け皿とでもいひませうか、容量がふくらんだ分、學ぶことも多くて、實に勉強になりました。
さうしたら、展示室の一角で、「寺子屋」がありまして、そこで 「れきはく手習い帖」 を出されてしまひました。教師(?)は四、五人もをり、生徒はぼくたち二人だけでしたから、數に押されたこともありましたが、興味にひかれて挑戰してみました。
要するに、伊豆とか、相模とか、武藏、安房、上総、下総、常陸の國名をくづし字で書けといふものです。いやあ、假名文字でも難しいのに、いくら手本があるからといつて、漢字のくづし字をすらすらとは書けませんでした。お恥ずかしい!
讀むのすらまだおぼつかないのに、書くのはなんと勇氣が必要なことでせう。ちよいと反省いたしました。
さうかうするうちにお時間となり、博物館前發四時二二分のバスで佐倉驛に向かひました。なんだかずつしりと疲れ、からだが重く感じられるほどでした。それで、できれば訪ねたいと思つてゐた、將門神社と桔梗塚はいづれといふことにして、靑砥驛で途中下車し、グラスビールで乾杯をして、お壽司をいただいてから別れました。
註・・・国立歴史民俗博物館は、千葉県佐倉市城内町にある、大学共同利用機関法人人間文化研究機構が運営する博物館。日本の考古学、歴史、民俗について総合的に研究・展示する博物館である。通称、歴博(れきはく)。佐倉城趾の一角にある。
今日の寫眞・・・城址公園に入つたところにある臼杵磨崖佛にて。川野さんは、ふるさとの觀光のめだまがなぜここにあるのか、不思議がつてをりました。
それと、「寺子屋」にて。書き終はつた「手習い帖」を手に