五月廿八日(月)庚酉(舊四月十四日) 晴ときどき曇り

 

母を送りだしたあと、妻と有樂町に行きました。無印の店に行きたいといふのでお供したのですが、まあ大きくて廣いといふか、贅沢な店舗です(註)。 

妻が買物をするあひだ、本賣り場で待つてゐました。ここも選りに選つた趣味の本が盛りだくさん。そこに、『箸はすごい』 とか、『自分の箸と出会うため おはしのおはなし』 とか、『箸の作法』 などといふ本が置かれ、見てゐるうちに、さうだ箸作りを再開してみようか、といふ氣になつたのでした。

 

南伊豆の山暮らしでは、小物の細工より、竹の箸がよく売れました。さう、バブルがはじけたときでした。海中水族館に出してゐた、イルカやクジラの尾などのキーホルダーがまつたく賣れなくなり、そのあげくにはじめた箸作りでした。が、これがよく賣れたのです。 

一膳一膳手作りですから、たくさんはできません。それでも修善寺や吉祥寺、青山、筑波など五、六の店に卸してゐました。なにせ、リピーターが多くて、名前を書き入れたりして、プレゼントとか家族用にとかで、けつこう喜ばれました。

 

それをいまさらはじめられるかどうか。箸の材料のいぶし竹は、この先一生かかつても作りきれないほど、伊豆を出るときに用意してきましたから、問題は作業場の確保でした。それが、今や與へられさうなのであります。 

もう一つの問題は、ぼくの健康状態です。氣力がけいぞくするかどうか。讀書で精一杯でしたのに、そのうへの箸作りです。さあどうなるか。自分でも樂しみです。 

 

註・・無印良品は衣服、生活雑貨、食品という幅広い品ぞろえからなる品質の良い商品として、1980年に生まれました。現在、全世界で700店舗を超え、商品アイテムは、約7000 品目を扱っています。 

 

今日の寫眞・・東京新聞、朝刊の切り抜き。 

それと、箸作りの樣子と作品。ちなみに、現在ぼくや家族が使つてゐる箸は、すでに十年以上になりますが、いぶした色合ひが多少さめただけで、使ひよさに變化はありません。