七月十三日(金)丙午(舊六月朔日) 晴、蒸し暑い

 

口直しに、柴田錬三郎著 『忍者からす』 を讀みはじめたのはいいのですが、そこで、〈一休禅師〉に出會つてしまひました。そして、今まで矯めてゐた一休さんへの關心と興味が一擧に爆發し、この際、一休さんの世界に飛び込んでみようと思つてしまひました。

 

いつかは一休さん、とは決めてゐましたし、そのために古本市で目についた一休さん關係の本はほとんどすべて手に入れてきました。ざつと數へたら三十數册にものぼりました。それと、もつと切實な理由は、先がないといふことです。『源氏物語』 につづいて、古典をくづし字で讀む讀書の順番としたら、一休さんはずつと先のことで、たどりつけるかどうか實にあやしくなつてきたからです。 

幸ひ、南北朝時代を勉強したあとですし、その時代の「落とし子」のやうな一休さんを學ぶにはこの機會をおいてもうないのではないか、と勝手に決めつけてしまつたのであります。

 

で、まあ、水上勉さんの 『一休』、『一休を歩く』 などの四册をはじめ、すでに讀んだものもありますが、今度は、くづし字の傳記に挑戰してみようといふ氣になりました。和本の 『一休諸國物語圖繪』(全五册) と 『一休禅師御一代記 全』 です。『一休禅師御一代記』 のはうは明治になつてからの印刷ですが、『一休諸國物語圖繪』 は「慶應乙丑補刻」と記されてゐます。「慶應乙丑」年は慶應元年(一八六五年)ですから、天狗党が擧兵し、池田屋事件があり、佐久間象山が暗殺された次の年です。

 

とりあへず、今日は、唐木順三さんの 『中世の文學』(筑摩叢書) の中から、「一休─風狂・風流といふこと」を讀みました。むずかしいことは覺悟して、『一休禅師御一代記』 から讀みはじめました。 

 

今日の寫眞・・一休さんのくづし字本