七月十五日(日)戊申(舊六月三日) 晴、猛暑

 

今日も猛暑。暑さにめげないやうに、場所をかへ、本をかへしてだらだらと讀書。それでも、早く區切りをつけたかつたので、『源氏物語』 〈帚木〉の卷を讀み上げました。 

昨年の十月、學習院さくらアカデミー 《源氏物語をよむ》 の講義に從つて讀みはじめましたが、ぼくは變體假名で日本文學を讀み通す計畫ですから、靑表紙本」を開いたわけであります。〈帚木〉は一三二頁ありました。 

ただ、途中寄り道し、南北朝時代やら、『竹齋』 やら、『筑波問答』、それに 『能因本 枕草子』 やらを讀んだので、それで九か月もかかつてしまひました。 

 

「雨夜の品定め」によつて、「中流(中の品)の女に個性的なおもしろい女性が多いという新しい視野をひらかれ」た源氏でしたが、その翌晩、方違へ先の邸で、さつそく「中の品」である空蝉といふ女に出會ひ、ぞつこん惚れ込んでしまひます。 

ところが、人妻である空蝉、惱みに惱んで源氏の誘惑をしりぞけることに成功いたします。「私は帚木なんです、遠くから見れば見えても、近よると見えなくなるといはれる帚木です」、と言ふところなんか、女心が感じられれて、ぞくぞくしてしまひますね。 

 

ところで、明後日に迫つた 《東山會》 の鎌倉散策なんですが、お休みすることにしました。この暑さもありますが、このところ心臟が自己主張をやめないので、氣を抜くことができないからです。 

さうしたら、なんと弓道の中辻先生が亡くなられたとの連絡が入り、齋藤さんと葬儀に出席することにしました。が、それが鎌倉散策の日でした。そのために鎌倉をやめたわけではないのですが。