七月卅日(月)癸亥(舊六月十八日) 曇り

 

廿七日に註文した 『森銑三著作集 〈第7巻〉 人物篇』 が屆きました。〈目次〉を開いたら、興味深い幾つもの傳記に交じつて、「塙保己一」 と 「物語 塙保己一」 の二つの傳記が目に入りました。まづ、短文のはうを讀みましたが、偉大な人物像がありありと浮かび上がつてきたので、つづいて、「物語 塙保己一」 のはうも一氣に讀んでしまひました。 

先日買ひ損ねた、三國書房の 『物語 塙保己一』(昭和十七年) の全文を讀むことができたわけであります。とても讀みやすく、わかりやすい内容でした。 

〈編集後記〉によると、著者が、塙保己一の出生地にある、「玉町の縣立高等女學校」で語られた講演の草稿を基に書き上げたと記されたありました。わかりやすいはづです。またそれだけではなく、塙保己一の偉大な業績を廣く知らしめたいとの思ひがつたはつてきます。

 

ちなみに、昭和十七年出版の 『物語 塙保己一』 には、「寫眞圖版がたくさん配され」てゐたやうなので、また機會があつたら見てみたいと思ひます。 

なによりも、誰がなんと言はうと、『群書類從』 は日本の國の寶だと思ひます。それが、正續(全一一六冊=正編全三〇冊/續編全八六册)あはせて數萬圓もしないで手に入るのですから、高價だから讀めないといふ言ひ譯は通用しません。まあ、圖書館にいけば手に取れはしますけれど。