八月廿三日(木)丙寅(舊七月十三日) 晴、臺風接近

 

今日は川野さんと、静嘉堂文庫美術館に行つてきました。 

二子玉川驛で待ち合はせ、バスに乘つて、開催中の《─明治150年記念─ 明治からの贈り物》展の見學です。目玉は、重要文化財である、橋本雅邦の 「龍虎圖屏風」 でありましたが、ぼくが驚嘆したのは、刺繍額の「羽衣圖」 です。 

展示室に入つた正面に掛けられた額でしたが、ぼくはそこに能衣装を着けた人物が立つてゐるのかと思つてしまひました。すばらしい作品です。明治四十年頃、菅原直之助の作といふのですが初めて目にした作品でした。 

その他もろもろのうち、伊藤若冲原畫の 「池邊群蟲圖」(動植綵繪) の綴織額がこれまたすばらしい技法を見せてくれてゐました。

 

ぼくにとつて二度めの今日は、歸りは庭園を通ることにしました。庭園といつても、静嘉堂文庫の山は岡本静嘉堂緑地といふところで、國分寺からつづく武蔵野丘陵の崖線の一部のやうです。緑に圍まれたなんていふよりも、森と言つてもよいくらゐで、太くて見上げるやうな松やクス、ケヤキ、シイなどの樹木が密生してゐます。その樹木の間の谷間のやうな散歩道を下つてバス停まで歩きました。 

二子玉川は、史策會で野川を二回にわたつて歩いて下つた時のゴールで、その時はみんなでお店を選んで入りましたが、今日は川野さんと二人。それに、夕食は町田の馬刺しを提案したら行きませうといふことになつたので、高島屋南館で輕くそばをいただきました。

 

ここからは、ぼくの案内で、田園都市線で長津田驛經由、JRで町田驛下車。時間があるので、高原書店に行き、一時間ばかり見て歩きました。なにしろ四階建てのビルのすべてが古本です。一時間ではすまないのですが、今日はざつと歩いて、それでも探してゐた、中公バックスの日本の名著 『三浦梅園』 が手に入りました。しかも二割引き。川野さんに聞いたら、三浦梅園と廣瀨淡窓は郷土の思想家だから知つてゐるといふご返事でした。ぼくは二人とも最近まで知りませんでした。

 

柿島屋は、先週妹と來たばかりですが、川野さんにも食べてもらいたいとお連れしました。もつとも、二人はお酒はだめなので、馬刺しと冷奴とご飯を美味しくいただいて歸路につきました。 

今日は昨日まではとうつてかはつてからだが輕く、一〇二五〇歩も歩くことができました。 

 

 今日の寫眞・・・刺繍額の「羽衣圖」・「池邊群蟲圖」。静嘉堂文庫の前にて、と高原書店で求めた本。それと、國分寺崖線地圖。野川源流域から、等々力渓谷あたり