八月廿日(月)甲申(舊七月十日) 曇天

 

昨日今日と寢ころんでゐて、なんだか入院生活をしてゐるのと同じやうだなあと妻に言つたら、でも好きな本に圍まれてゐていいぢやないなんて言はれてしまひました。 

ぼくは病院が嫌いではありません。いつその事、こんな状態がつづくなら入院したはうがいいかななんて考へてしまひますが、いつでも好きな本を讀むことができるし、まあまあ好きなものも食べられるし、さらに、こんなぼくでも家にゐることで、妻が自由に動けるならと、よしとしてゐます。 

 

今日も、寢ころびながら 『源氏物語〈末摘花〉』 を讀みすすみました。毎日數頁づつ、靑表紙本で二六頁まで讀みました。深窓の姫君、末摘花をいかに落とすかで、頭中將と競ふところが面白い。それにしても、源氏の君も、手紙の返事もよこさない末摘花にいいかげん頭にきてゐるやうです。