今日は、かたづけ作業はせず、ときどき猫たちを相手にしながらも、ソファーベッドで讀書。
ディック・ロクテイ著 『眠れる犬』(サンケイ文庫) 讀了。物語が複雑で、登場人物をたえず確認しながらも、じつに面白かつた。
つづいて、藤沢周平著 『時雨みち』(新潮文庫) をよみはじめる。
十月二日(金)舊八月十六日(戊寅・望) 晴
今日はいい天氣。高圓寺の古本市に行き、神保町にもどつて古本屋街を散歩。それで何册も古本を買ひこんでしまつた。
今日の収穫・・・『源氏物語五』(新潮日本古典集成─以前購入したはづなのに紛失してしまつたので再購入)、『万葉集』 (新潮古典文学アルバム)、角田文衛著 『京の朝晴れ』(角川書店)、『好色一代女』(岩波文庫、昭和十二年發行)、荒井章三著 『ユダヤ教の誕生』(講談社学術文庫)、吉田秀和著 『ソロモンの歌・一本の木』(講談社文芸文庫)、安岡章太郎著 『鏡川』(新潮文庫)、ローレンス・ブロック著 『処刑宣告』(二見文庫)、ジョン・ラッツ著 『別れのキス』(二見文庫) 以上九册。
十月三日(土)舊八月十七日(己卯) 晴
朝食後、中村莊の本のかたづけを少々。あとは、猫の相手と讀書を交互。
藤沢周平著 『時雨みち』 讀了。この短編集はよかつた。とくに心にしみたのは、「山桜」と「おさんが呼ぶ」だな!
〈若菜上〉もわづかながらよみすすんでゐる。
十月四日(日)舊八月十八日(庚辰) 曇天、朝方小雨、のち晴
今日は、猫の相手と本のかたづけをしつつ、古淨瑠璃の 「他力本願記」 を讀んだ。法然上人をめぐつてのはなしだつたけれど、漢字であれば理解できるところが、みなひらがななので、ときどき電子辭書のお世話になつた。
妻に賴んで、圖書館から北原亞以子の文庫本二册を借りてきてもらふ。慶次郎縁側日記を讀んでみたかつたからだ。
十月五日(月)舊八月十九日(辛巳) 晴
さてさて、今日は、はるばる川野さんをお迎へして、中村莊に運び込んだ古本を持ち歸つていただいた。晝から數時間、それで十分選んでいただけたやうなので、うれしかつたが、すこしも減つてゐないのは殘念だつた。またの機會を願ふ!
北原亞以子著 『その夜の雪』(新潮文庫) を讀みおはり、つづいて 『慶次郎縁側日記』 を手に取つたけれど、どうにもかみあわないといふのか、何を書いてゐるのかはつきりしないところがあつて、面白さが感じられない。それで、『慶次郎縁側日記』 は放り出した。
朝、日本橋高島屋から電話があり、遠近兩用の眼鏡(レンズ新調)ができたといふ。それで、すぐに出かけて受け取つてきた。讀書に關して、鼈甲ぶちよりずつと見やすくなる。
ローレンス・ブロック著 『倒錯の舞踏』(二見文庫) を讀みはじめる。
十月七日(水)舊八月廿一日(癸未) くもり一時晴のち曇天
肌寒いので、猫たちを相手に終日讀書。『倒錯の舞踏』 よみすすむ。
リクライニングソファー用に、電熱器入りのひざ掛けを出す。
十月八日(木)舊八月廿二日(甲申・寒露) 終日小雨
ローレンス・ブロック著 『倒錯の舞踏』 讀了。讀み應へあり。ずつと以前に何册かよんだが、よませる力はかはらず。つづけてよみたくなる。
十月九日(金)舊八月廿三日(乙酉) 雨
亮二郎君と上野で待ち合はせ、久しぶりに、とん八亭でヒレカツ定食を食べる。そして、一緒に歸宅し、本を二階から中村莊へ運ぶのを手傳つてもらふ。たいへん助かつた。それから、これも久しぶりにことぶき湯に一緒に入りに行つたけれど、とてもいい湯で、あらためて通ひたくなつた。
デイサービスから歸つてきた母とも會ひ、一緒に食事をして泊まつてもらふ。
十月十日(土)舊八月廿四日(丙戌・下弦) 雨
朝食後、亮ちやんに、昨日二階から運んだ、中村莊の工房の部屋の本を、隣の仕分け部屋に移動してもらつた。これも助かつた。
ローレンス・ブロックの 『獣たちの墓』 をよみあげてしまふ。つづいて、『死者との誓い』 に入る。
終日讀書。ローレンス・ブロックの 『死者との誓い』 をよみすすむ。
十月十二日(月)舊八月廿六日(戊子) くもり
さて、今日はお二人目、我が處分本を取りに來てくださつたのは、源氏講座でご一緒したTさん。午後一時、堀切菖蒲園驛までお迎へし、仕分け部屋の本を見ていただく。たくさん選び取つてくださつたが、まだまだ減量にはほど遠い!
夜、アマゾンで、まだ讀んでゐないローレンス・ブロックを五册注文した。
十月十三日(火)舊八月廿七日(己丑) くもり
今日は神保町の三省堂に、ニューヨークの地圖を買ひに行つた。ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズを讀むには必携である。ところが、見やすいのがなかなかなくて、觀光ガイドブックの付録にいいのがあつた。が、本誌のはうはすぐに捨ててしまつた。
また、せつかくだから、探偵ものの文庫を探して何册か買ひ求めた。歸りは、新宿線で本八幡に行き、山本書店を見てから歸宅する。
今日の収穫・・・ローレンス・ブロック著 『冬を怖れた女』、リチャード・スターク著 『悪党パーカー/人狩り』、スティーヴ・ハミルトン著 『解錠師』、塩見鮮一郎著 『貧民に墜ちた武士 乞胸という辻芸人』、古浄瑠璃正本集刊行会編 『元禄歌舞伎せりふ正本集』 (和泉書院影印叢刊)。以上、五册。
十月十四日(水)舊八月廿八日(庚寅) くもり
今日はマキさんと、お花茶屋驛から龜有まで、曳舟川に沿つて散歩。殘念なことに、〈葛飾区郷土と天文の博物館〉は休館中であつた。
龜有で晝食後、千代田線で松戸驛まで行き、新京成線に乘つて新鎌ヶ谷驛下車、アクロスモール新鎌ヶ谷で開催中の古本市を見てから別れる。
ローレンス・ブロック、二册屆く。
ジョン・ラッツ著 『別れのキス』 一氣に讀む。フロリダが舞臺で、先日求めたニューヨークの地圖は役に立たなかつた。
そのニューヨークを舞臺とする、注文したローレンス・ブロック、四册屆く。
中村莊の本のかたづけをしてゐる際に目についた、北川忠彦編 『軍記物の系譜』 をよみはじめてみた。これは、和本の 「元版群書類從特別重要典籍集」 を讀むには便利で、ついでにその帙を出してきてひらき、讀む順番を確認したりしてひとり悦に入る!
今日は二か所の古本市を訪ねる。まづは、五反田の南部古書會館。靑砥驛から五反田驛まで、時間はかかるが直通で向ふ。じつに久しぶりである。つづいて、三田線で神保町に出、美味しくないラーメンを食べてから、東京古書會館を訪ねた。
久しぶりに、西秋書房と日本書房をのぞいたけれど収穫なし。総武線で淺草橋、都營淺草線に乘り換へて靑砥にもどつて歸宅する。
よく歩いたわりにはめぼしい本が見つからなかつた。以下買ひ求めた順に記す。
今日の収穫・・・『西鶴俗つれづれ』(古典文庫)、女好庵主人著 『こころの竹(春情心の多氣)』(和本)、加藤周一著 『日本文学史序説 上』(ちくま学芸文庫)、泉麻人著 『バスで田舎へ行く』(ちくま文庫)、小島政二郎著 『俺傳(おれでん)』(南窓社)、藤本孝一著 『日本の美術 468 「定家本源氏物語」册子本の姿』(至文堂)、ローレンス・ブロック著 『慈悲深い死』(二見文庫)、逢坂剛著 『最果ての決闘者』(中央公論新社)。
寒いので、暖かくして終日讀書。ローレンス・ブロック著 『冬を怖れた女』 をよみすすみ、日付がかはつたころ讀み終る。ニューヨークの地圖が役に立つ。
十月十八日(日)舊九月二日(甲午) 雨のち曇天一時晴
寒いので、暖かくして終日讀書。北川忠彦編 『軍記物の系譜』 をよみすすむ。すでに、『平家物語』 についての考察にはいつてゐるが、平治の亂の一部である、複製の和本(寛永二十板の正本)、『待賢門平治合戰』 が目についた。
ちなみに、『待賢門平治合戰』 とは─「古浄瑠璃の作品。一六四三年(寛永弍拾年)の正本などがある。太夫の名は不明。六段よりなる。《平治物語》によった作品で,後半の源義朝の最期や鎌田政清の殺されるところなどに幸若舞《鎌田》によっているらしいところがあるが,それよりは簡単になっている。終りの方は説経節《鎌田兵衛正清》に似たところがある。かなり広い題材を扱っているために物語は筋書風になっているが,悪源太の活躍,朝長の切腹,義朝の最期,政清の横死,妻子五人の自殺,金王丸の武勇など,多くの見せ場を作っているところに,古浄瑠璃風の特徴が見られる」
また、ローレンス・ブロック著 『慈悲深い死』 をよみだす。
十月十九日(月)舊九月三日(乙未) くもり
終日讀書。
十月廿日(火)舊九月四日(丙申) 晴
通院後、日比谷驛のりかへで、千代田線、小田急線をのりついで町田に行く。まづ、ブックオフを訪ね、ローレンス・ブロックの文庫本を四册探して求める。
ローレンス・ブロック著 『慈悲深い死』 讀了。主人公の無免許探偵マット・スカダーのキャラクターがいい!
今日の収穫・・・ローレンス・ブロック著 『泥棒は選べない』、『泥棒はクロゼットのなか』、『ローレンス・ブロック短編集1 おかしなことを聞くね』、『快盗タナーは眠らない』。
北川忠彦編 『軍記物の系譜』 讀了。群書類從の〈合戦部〉を讀むには最適の參考書だ!
十月廿二日(木)舊九月六日(戊戌) 晴のちくもり
お晝を食べに出たついでに、関屋・牛田經由で錦糸町に行き、パルコの古本店をのぞいてみた。ちやちな店だが、文庫本を二册、吉本隆明・茂木健一郎 『「すべてを引き受ける」という思想』(光文社知恵の森文庫) と、E・R・バローズ著 『時間に忘れられた国(全)』(創元SF文庫) を求める。
『快盗タナーは眠らない』 讀了。舞臺がトルコからアイルランド、スペインのマドリード、さらに、フランス、イタリア經由でユーゴスラビア、ブルガリア、スロベニア、そしてソフィアからトルコへと、まるで海外旅行してゐるやうな冒険談で、歸宅してからグーグルマップですべての經由地を確認した。マット・スカダーものがニューヨークにかぎられてゐるのとくらべて、初期の作品とはいへおもしろいと思つた。
十月廿三日(金)舊九月七日(己亥・上弦) 雨のちやむ
終日寢てすごす。讀書もすすまず。
十月廿四日(土)舊九月八日(庚子) 晴
今日は、なんとしても散歩に出なければならなかつた。むろん古本散歩で、三か所の市を訪ねた。ところが、東京古書會館の特選古書即賣展であるはづが、會場での販賣はなし。そのまま中央線で高圓寺に向ひ、西部古書會館をたずねたら、ここは滿員の盛況さ! 時間をかけて見てまはつたが、たいしていい本はなかつた。次いで、錦糸町に向ひ、錦糸町パルコの古本市とやらに行つたところ、それが、錦糸町パルコの一階仲通にほんのわづかにならべられただけで、とても古本市などと呼べるものではなかつた。それで、北千住のなざわ書店を訪ねて出向いたところ、なんと學園通りから消えてなくなつてゐた!
十月廿五日(日)舊九月九日(辛丑) 晴
ローレンス・ブロック著 『墓場への切符』 讀了。もう、最高!
また、『宇治拾遺物語 卷第十』(和本) と、『源氏物語 三十四〈若菜上〉』(靑表紙本) もすこしづつ讀みすすんでゐる。
かつ猫のAさんが、明日入院するので、飼ひネコ三匹のうちの一匹を預かることになり、今朝妻が迎へにいつた。チャチャチャ(茶々)といふ名で、まだこどものやうだ。
十月廿六日(月)舊九月十日(壬寅) 晴
逢坂剛著 『最果ての決闘者』 を讀みはじめ、夜中までとまらず。
十月廿七日(火)舊九月十一日(癸卯) くもつたり晴れたり
明け方四時、逢坂剛著 『最果ての決闘者』 讀了。一氣に讀ませたが、最後のところがあいまいで氣にくはなかつた!
また、『宇治拾遺物語 卷第十』 讀了。
つづいて、何を讀もうかと考へ、さうだ説話文學を最初から讀み直してみようと思つた。それも、影印書か複製で、「元版群書類從特別重要典籍集」 の和本があるものはそれで。なかには漢文もある。すでに讀んだものもあるが、何度讀んでもいいわけで、それで、成立した順にみな書き出してみた。
説話文学(*は、「元版群書類從特別重要典籍集」の和本、又は複製・影印本)
七五八~八二二年頃 *『日本現報善悪靈異記』 景戒─最古の説話集。
九八四年 *『三寶繪』 源為憲
一一〇七年頃 *『江談抄』 藤原実兼
一一二〇年頃 『今昔物語集』
一一五四年以後 *『中外抄』 中原師元
一一六一年以後 *『富家語』高階仲行
一一七九年頃 *『寶物集』 平康頼
一二世紀中期 *『古本説話集』
一二一五年以前 『古事談』 源顕兼
一二一六年以前 *『發心集』 鴨長明
一二一九年 *『続古事談』
一二二二年 『閑居友』慶政
一二三九年以後 *『今物語』 藤原信実
一二四二年以後 *『宇治拾遺物語』
一二五〇年頃 *『撰集抄』
一二五二年 *『十訓抄』
一二五四年 『古今著聞集』 橘成季
一二五七年 *『私聚百因縁集』 愚勧住信
一二八三年 *『沙石集』 無住道暁
十月廿八日(水)舊九月十二日(甲辰) くもり
昨夜から、日本最古の説話集である 『日本現報善惡靈異記』 を 「元版群書類從特別重要典籍集」 で讀みだした。漢文で再讀だがよみ通したい。
Aさん、今日が手術日だ。預かつたチャチャはすぐに抱つこができた。安心してください。
十月廿九日(木)舊九月十三日(乙巳・十三夜) 晴
ベッドの右手には源氏物語が、左手には日本靈異記がぶるさがり、横になればいつでも讀める態勢がととのひ、〈若菜上〉はのこり數頁。漢文の靈異記は勘を取り戻すまで少し時間がかかるであらう。
で、今日はまた、ローレンス・ブロック著、マット・スカダー・シリーズの第一作 『過去からの弔鐘』 が屆いたので讀みはじめた。「できるだけ他人の人生に関与しないような人生を送っている」マット・スカダー、かつこいいと思ふ!
十月卅日(金)舊九月十四日(丙午) 晴
「元版群書類從特別重要典籍集」 の 『日本現報善惡靈異記 卷上』、しよつぱなから亂丁がみつかり、その數頁をうめるために、日本古典全集の 『校本日本靈異記』(「元版群書類從特別重要典籍集」をそのまま文庫本に縮小したもの) を擴大コピーしに行く。
ローレンス・ブロック著 『過去からの弔鐘』 讀了。マット・スカダー・シリーズの第一作だが、基調はのちの作品と變はらず、面白かつた。
また、探してみたがどうしても見つからず、再度求めて注文した、志村有弘他編 『説話文学史―説話文学小事典─』(明治書院) が屆く。
十月卅一日(土)舊九月十五日(丁未・望) 晴
昨夜、『源氏物語三十四〈若菜上〉』(靑表紙本) を讀み終へた。靑表紙本で二九〇頁。内容にも緊張感がただよひ、よみでがあつた。
また、『日本靈異記』 と先日屆いたばかりの 『一ドル銀貨の遺産』 を讀み讀みしてゐたら、結局寢られず、起きたのは一一時過ぎ。急いで準備して、綾瀨驛から柏に行く。
晝食は天外天の担々麵。太平書店では文庫本三册。
柏驛から、はじめて東武鐡道のアーバンパークラインに乘り、野田市驛まで行つてみた。いやあ、まあ何もない驛! 現在高架線化工事中なので、少しはましになるのだらうけれど、まつたくの田舎驛。そのまま折り返して、流山おおたかの森驛におりてみたら、野田市驛とは眞逆で、高級住宅地(?)化の眞最中といつた感じ。港北ニュータウンを思ひだしてしまつた。そこで、つくばエクスプレスに乘り換へ、南流山驛に下車して、驛前の古本屋を訪ねた。ここもだいぶ再開發がすすみ、變貌をとげてゐた。ここではやはり文庫本を二册求める。
今日の収穫・・・佐々木譲著 『冒険者カストロ』(集英社文庫)、サラ・パレッキー著 『サマータイム・ブルース』(ハヤカワ文庫)、ダニエル・ジャドスン著 『緊急工作員』(ハヤカワ文庫)、ロバート・クレイス著 『容疑者』(創元推理文庫)、アントニオ・マンジーニ著 『汚れた雪』(創元推理文庫)。
*「スコットランド出身の俳優ショーン・コネリーさん(90)が10月31日、死去した。映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンド役で人気を博した」(毎日新聞)