2023年6月1日(木) 

晴。今日外出せねばからだがかたまると思つたら、ちやうど所沢のくすのきホールで古本市が開かれてゐるのを知り、朝食後出かけた。西武鐵道で池袋から所沢まで急行で三驛め。開場前に着いたのでしばらく待つた。

8階大會場のぐるりとめぐる壁際の文庫本だけをみて歩いただけで精一杯。二時間ほどで會場をあとにし、踏切りわきのラーメン屋に入つたはいいがそれが不味くてほとんどを殘して飛び出て歸路についた。經營者がかはつたやうだつたのに注意すればよかつた。

近頃不思議なのは、アマゾンで文庫本が買へないことだ。Kindle版で讀めといふのである。むろんそんな理不盡には怒りしかない! 買はなければいいだけのことだ。だから古本市はいい。アマゾンではKindle版しかなかつたビギナーズ・クラシックス 『老子・荘子』(角川ソフィア文庫) が手に入つた。散歩にもなるし。

朝食は燒き餠ひとつとヨーグルトにサイコロバター。晝は不味いラーメン。夕食はカツ煮、馬刺、ジャガイモ炒め、ながいも。デザートはデコポン。

昨夜、志水辰夫の 『飢えて狼』 讀了。つづいて同 『裂けて海峡』 を讀みはじめる。これも再讀だが面白い。

今日の収穫・・ビギナーズ・クラシックス『老子・荘子』(角川ソフィア文庫)、同『韓非子』(同)、獅子文六『ちんちん電車』(河出文庫)、小林信彦・荒木経惟『私説東京繁昌記』(ちくま文庫)、『東京地名考上下』(朝日文庫)、北方謙三『行きどまり』(講談社文庫)

今日の外出・・・5070歩

 

6月2日(金)

雨。臺風2號接近。終日讀書。

志水辰夫 『裂けて海峡』(講談社文庫) 讀了。それぞれ解説が北上次郎さんと内藤陳さんでは面白くないはづがない! つづいて昨日求めた北方謙三 『行きどまり』(講談社文庫) を讀みはじめる。

それと、『断腸亭日乗』 を讀んでゐて、荷風が讀んでゐる中國の古典を讀んでみたく思った。が、難しい原文をいまさら讀めもしないので、角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックで讀んでみようかと思ふ。まづは當時の歴史を少々復習。 

 

6月3日(土)

雨のち晴、臺風は去つた。ところが氣壓のせいかからだがだるくてしかたなかつた。終日讀書。

北方謙三 『行きどまり』(講談社文庫) 讀了。解説に「初老を過ぎたような読者にとっても、本書が失われた青春に回帰させ、元気を出させる一冊であることは間違いない」とある。たしかに。

角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス中国の古典の 『論語』 をぼちぼち讀みはじめた。『泉光院江戸旅日記』 も讀みすすむ。

今日はあれこれ七册の本を並行して、といふか讀み散らした。 

 

6月4日(日)

晴。昨日一昨日のあのだるさはなんだつたのだらう。やつと外出できるやうになつた。高圓寺の古本市を見がてら晝食を食べに出かけた。すると思ひがけないものが手に入つた。「現代日本紀行文学全集」の七册、全卷ではないが各册200円なので求めてしまつた。晝食はぎょうざの満州にて、タンメンとレバニラ炒めを注文したけれど食べきれず。歸路、高圓寺から新小岩まで直行、バスにて堀切菖蒲園驛に至り青木書店を訪ねて話しこむ。

今日の外出・・4140歩 

 

6月5日(月)

晴のちくもり。終日讀書。あれこれつまみ食ひならぬ、つまみ讀みが樂しい。

夕方シャワーを浴び、坊主頭を洗ふ。 

 

6月6日(火)

くもり。久しぶりに柏に行つたけれど、ふぐの玄品が改装中だつたので、天外天の担々麺をいただいた。美味しかつた。それから大平書店とブックオフを訪ねて文庫本を數册求める。歸宅後讀書。

『色川武大という生き方』(田畑書店) 讀了。これは全集の月報をまとめたもので「三十三回忌、33人が語る33色の色川武大」!

今日の外出・・3820歩 

 

6月7日(水)

晴。終日讀書。

今日の収穫・・・『現代紀行文学全集 北日本篇』(修道社) が届いた。 

 

6月8日(木)

晴のちくもり。明日はまた雨だといふので出かけてお晝を食べまた古本屋をはしごした。新御茶ノ水驛下車、 ねぎしのしろたんセットを舌をかまずに完食! ひと驛乘車し、水道橋驛から神保町まで漫歩。店先のワゴンで見つけた 『文芸の本棚永井荷風』(河出書房新社) の「エッセイ」と「荷風論」が面白く、特に末延某の 「墨東綺譚を読み解く」 が参考になつた。

今日の収穫・・・『文芸の本棚 永井荷風 断腸亭東京だより』(河出書房新社)、伊藤永之介 『梟・鶯・馬』(角川文庫)

今日の外出・・・3990歩 

 

6月9日(金)

曇天。終日讀書。

石川英輔 『泉光院江戸旅日記 山伏が見た江戸期庶民のくらし』(ちくま学芸文庫) 讀了。この紀行の特徴は當時の他の旅日記とことなつて 「泉光院は山伏であり、小銭や食べ物の喜捨を受けながらの回国だった。泊めてもらうのは多くの場合、貧しい農家だった。つまり六年余にもわたって、現在の鹿児島県から秋田県まで、いわゆる『無銭旅行』を続けたのである」。實に面白かつた。

つづいて 『現代紀行文學全集 北日本篇』 を讀みはじめたが、面白くて北海道の地圖が手放せない。 

 

6月10日(土)

今日も曇天。晝食がてら神保町へ。古書會館の古本市でまづ永井荷風が絶讚してゐるピエールロチの 『秋の日本』(角川文庫)、それに芦原伸 『へるん先生の汽車旅行』(集英社)、小宮山書店のワゴンの中から小門勝二 『玉の井雙紙』 などを得る。その他、『完訳怪談』 『明治東京逸聞史』 『わたしの唐詩選』 『ビギナーズ日本思想九鬼周造「いきの構造」』 『愛のかたち・蝮のすゑ』 『読書中毒』 『名人志ん生、そして志ん朝』、東京の戦後の区分地図三種。なかでも石川文洋の 『日本縦断徒歩の旅』 が面白さう! 宗谷岬から沖縄まで65歳の寫眞家が歩くのである。地圖を片手に一緒に山形縣酒田まで讀んで寢る。

歸宅後シャワー。

今日の外出・・・3100歩 

 

6月11日(日)

雨。終日讀書。

昨夜、永井荷風 『断腸亭日乗(三)』(昭和6年~昭和10年、岩波書店) 讀了。つづいて石川文洋 『日本縦断徒歩の旅ー65歳の挑戦ー』(岩波新書) を一氣に讀了。宗谷岬から喜屋武岬まで、地圖ですべての通過地をチェックしながらたどりついた。まあ、泉光院の旅とは比較にならないが、ぼく自身もあこがれてしまふ。さういへばぼくが中仙道を歩いたのは66歳のときだつたのだ。 

 

6月12日(月)

曇天。終日讀書。ビギナーズ・クラシックス 『論語』(角川ソフィア文庫) 讀了。日本は儒敎社會といはれるけれどほんとかね? 本當に學ぶべきところがしりぞけられて、都合のいいところだけ利用されてゐるやうに思つた。さうだ、村松暎 『儒教の毒』(PHP文庫) といふ本が處分せずにあつたはづだ、探してみよう。つづいてはやはり儒教の 『大学・中庸』 である。

夕食後シャワー。 

 

6月13日(火)

くもり晴。新橋の慈惠大學病院循環器内科へ通院。今日も混んでゐて、血液・心電圖・レントゲン檢査が終つたのは診察豫約時間の10分前だつた。が、それらの結果はみなよくて、前回注意されたBNP値も改善されたので安心した。

歸路、神保町に直行し、成光さんでラーメンをいただき、ついでに古本探索。

歸宅後シャワー。むし暑かつたので汗をながした。

今日の収穫・・・角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス中国の古典の 『史記』 と 『蒙求』 と 『菜根譚』、『江戸東京実見画録』 『回想の明治維新』 『ミットフォード日本日記』 『シドモア日本紀行』。荷風が幕末明治の來日外交官の日記を讀んでゐるのを知り、手もとにある外交官の日記紀行を探してみた。そして中斷してゐた萩原延壽 『遠い崖ーアーネスト・サトウ日記抄』(朝日文庫全14巻) にあらためて挑戰したいと思つたが、その前にペリー、ゴンチャレフ、ヒュースケン、オールコック、フォーチュンらの書いたものがある。讀みたいものが多すぎる!

まづ、『斷腸亭日乘』、「現代紀行文學全集」、江戸東京紀行、ミステリー、中国古典、そして幕末明治紀行・日記。まあ、気持ちを長く持つてつまみ讀みしていけばいいことだ。

今日の外出・・4710歩 

 

6月14日(水)

雨のちやむ。終日讀書。

種村季弘 『江戸東京《奇想》徘徊記』(朝日文庫) 讀了。つづいて小林信彦・荒木経惟 『私説東京繁盛記』 を讀みはじめる。それとケンペルの 『江戸参府旅行日記』(東洋文庫) に再度挑戰。 

 

6月15日(木)

曇天雨。終日讀書。『現代紀行文学全集北日本篇』(修道社) の北海道の部分が終り東北地方に入る。ケンペルの 『江戸参府旅行日記』 のはうは長崎から江戸へむけての旅である。『私説東京繁盛記』 も面白いがこれも古い地圖が缺かせない。 

 

6月16日(金)

くもりのち晴。靑砥驛でお晝を食べがてらアクロスモール新鎌ヶ谷店で開催中の古本市に行つてきた。まとめていい文庫本が手に入つた。

帰宅後讀書。ケンペルの 『江戸参府旅行日記』、小倉を發ち、瀬戸内大阪京都を經て東海道を濱松到着。

今日の収穫・・・『六本木随筆』 『池波正太郎の銀座日記』 『幕末遺外使節物語ー夷狄の国へー』。

今日の外出・・・3250歩 

 

6月17日(土)

晴むし暑い。神保町古書會館の古本市へ古本探索。古本屋街は平日とは異なつた人たちが食べ物屋などに行列をつくつてゐた。晝食はがら空きの金いちさんで鰻重。

歸宅後シャワー。

今日の収穫・・・『夷狄襲来ー幕末の異人たちー』 『東京残影』 『僕の東京地図』

今日の外出・・2820歩 

 

6月18日(日)

晴。終日讀書。

昨夜、小林信彦 『私説東京繁昌記』(ちくま文庫) 讀了。引き込まれてしまふ。つづいて 『私説東京放浪記』(同) も讀了。しかり、東京が面白い。もつと歩けるようにならなければ!

『現代紀行文学全集北日本篇』(修道社) の東北地方、幸田露伴の旅行記が面白い。

荷風 『斷腸亭日乘』 によると昭和12年2月21日に廣尾の光林寺にヒュースケンの墓に詣でてゐる。「余はヒ氏の不幸を思合せ、先頃より其靈を吊ひたしと思ひゐたるなり」と記してゐる。

夕方シャワー。今日はじつとしてゐるだけで肌が汗でべとべと。氣持ちいいシャワーだつた。 

 

6月19日(月)

晴。終日讀書。安岡章太郎 『僕の東京地図』(文化出版局) 讀みはじめる。

『江戸参府旅行日記』、江戸到着後の儀式めいた記述はあまりに退屈なので飛ばして江戸を出發するところからはじめる。 

 

6月20日(火)

くもりのち晴。終日讀書。安岡章太郎 『僕の東京地図』(文化出版局) 讀了。つづいて大岡昇平 『幼年』 を読みはじめる。地圖と照らし合わせて讀むと面白さ倍増。

讀み進んでゐるケンペルの 『江戸参府旅行日記』 の後半に入る前に、ケンペルより半世紀前に「鎖国時代に於ける日本紀行の一で、然も最古のものである」スエーデン人ウイルマン著 『日本旅行記』(アテネ文庫) を讀みはじめる。 

 

6月21日(水)

晴のち曇り。御茶ノ水ソラシィティで開催中の古本市に行つた。見て歩いたあと神田錦町の更科蕎麦で天ざるをいただいた。腰が痛くなり、京成上野驛までタクシーに乘つて歸る。

ウイルマン 『日本旅行記』(アテネ文庫) 讀了。隨行者としての參府日記だが、スエーデン人ながらオランダの東インド會社々員となり、はるばると日本をおとづれ再びスエーデンにもどるその人生が魅力的だ。再びケンペルの 『旅行日記』 にかへる。ちよいとしんどい。

夜、シャワー。

今日の収穫・・・『昭和東京私史』 『大正幻影』。

今日の外出・・3410歩 

 


 

6月22日(木) 雨降つたりやんだり

終日讀書。ウイルマンの 『日本旅行記』 はさうでもなかつたが、ドイツ人外科醫・博物學者で長崎のカピタン(オランダ総領事)の隨行者として參府旅行をともにしたケンペルの詳細な 『参府旅行日記』 を讀んでゐると、當時の役人たちの慇懃無禮で横柄なこと、權力をかさにきて意地惡なこと、今日の役人もそのまま引き繼いでゐるとしか思へない。

一週間ほど前から開かなかつたネットが回復したので、日本の古本屋に注文した。 

 

6月23日(金) 曇り

昨夜日本の古本屋を通して注文した本の店が神保町なので連絡して直接取りにうかがつた。古書會館で古本市もあつたからで、滿足の外出だつた。お晝は成光さんではじめてみそラーメンを食べてみた。次回は冷やしラーメンにしてみようか。

今日も腰が痛くなつたがタクシーに乘らず、電車を乘り繼いで歸宅した。

求めたばかりの岡崎武志 『読書の腕前』 を手に取つたら面白く、そのまま讀みはじめてしまつた。

寝る前にシャワー。

昨夜ケンペル 『江戸参府旅行日記』(東洋文庫) 讀了。つづいてジーボルトの 『江戸参府紀行』(同) を讀みはじめる。ケンペルより百二十數年後のおなじ長崎から江戸までの參府紀行である。

今日の収穫・・・『サトウハチローぼくの東京地図』 『明治日本体験記』 『明治日本印象記』 『東京の風俗』 『読書の腕前』。

今日の外出・・・4300歩 

 

6月24日(土) 晴たり曇り

上がけを干しシーツをかへる。

永井荷風 『浮沈・おもかげ・勲章』(角川文庫) 讀了。このうち 「おもかげ」 「女中のはなし」 「葛飾情話」 は讀み進んでゐる 『断腸亭日乗』 の昭和13年に執筆されてゐる。

また、岡崎武志 『読書の腕前』(光文社知恵の森文庫) 讀了。參考になつた。

今夜のブラタモリを見て、關ヶ原見學のさい歩いた山道が、そのときには何故こんな道を歩くのかわからなかつたが、番組をみてゐてよく理解できた。現地ではガイドのはなしをよくきいてゐなかつたのかもしれない。

 

6月25日(日) 晴

終日讀書。

昨夜、大岡昇平 『幼年』(講談社文芸文庫) 讀了。原題が 「わが生涯を紀行する」 とだけあつてじつに面白い。つづいてその續篇となる 『少年』 に入る。

また今日は 『江戸参府紀行』 と 『現代紀行文學全集』 を讀みすすめる。

午後シャワー。つづいて純子さんこられて整體を受ける。

 

6月26日(月) 

終日讀書。

お晝、今月いつぱいで店を閉めるといふ “ますや” に妻と行き、カレーうどんを食べた。いつも出前をたのんでゐたのでわからないが、閉店まぢかときいてか店内は滿席状態だつた。

『現代紀行文學全集』、野上彌生子の 「みちのくの旅」 は面白く讀んだが、つづく泉鏡花の 「十和田湖」 を讀みはじめたら、いきなりわけがわからなくなつて閉じてしまつた。さう、泉鏡花のものは何度も挑戰したけれど讀み通したのはなかつた。小三治の聲と同樣受けつけないなにかがあるのかもしれない。

とつさに船戸与一の 『非合法員』 を手にとつて讀みはじめてしまつた。何十年ぶりだらう再讀だがぐんぐん引き込まれる。

 

6月27日(火) 曇り

今日からはじまつた南柏驛前の古本市に出かけた。収穫はなんといつても 『海游録ー朝鮮通信使の日本紀行』(東洋文庫) だらう。以前 『老松堂日本行録 朝鮮使節の見た中世日本』(岩波文庫) を讀んでゐるが、貴重なる〈外国人の見た日本〉の一册である。その他、『石版東京図絵』 『夢声戦争日記抄』。 

船戸与一 『非合法員』(徳間文庫) 讀了。解説はご存じ内藤陳、面白くないはずがない。

夕食後シャワー。 

今日の外出・・・3130歩

 

6月28日(水) 曇り

久しぶりに南郷さんに通院。改めて骨粗鬆症の治療にかかるために血液採取。

お晝はこちらも久しぶりに青砥驛すしの三崎丸でお好みをいただいた。そのまま京成八幡驛まで乘つて山本書店をたずねる。

収穫は、『キーワード事典JAZZジャズを放つ』 『荷風散策』 『古文書返却の旅』。

今日の外出・・・2060歩 

 

6月29日(木) 曇り

今日はよく歩いた。腰の傷みも耐へられた。まづ、お晝を御茶ノ水の誠鮨のちらし鮨で腹ごしらへし、中央線で吉祥寺驛下車。古本屋を二軒はしご。それから井の頭線下北沢驛經由で町田到着。町田街道沿ひのかはらぬ人出をぬい、ぼくがたずねたことのあるなかで最大のブックオフを見て回ること一時間。4時過ぎたので柿島屋に行き、馬刺のほかにはじめて肉皿を食べてみた。

収穫は、『東京下町散策図』 『荷風のいた街』。

江藤淳 『荷風散策』 讀みすすむ。

 

今日の外出・・・5120歩 

 

6月30日(金) 雨降つたりやんだり

終日讀書。江藤淳 『荷風散策ー紅茶のあとさきー』(新潮文庫) 讀了。また 『斷腸亭日乘(四)』(岩波書店) 讀了。