二〇二〇年二月(如月)一日(土)舊正月八日(甲戌) 

 

今日から二月。七十三歳まであと二十三日。 

今日もまたアマゾンで映畫を見た。“マン・オン・ファイア” といふ、デンゼル・ワシントンが主演で、コメントによると、原作があのクィネルの 『燃える男』 のやうなのである。見終はつてからわかつたのだが、まつたく氣がつかなかつた。疑問點もあるが、これもまた、はらはらドキドキで面白かつた。 

つづいて、夜は、バレッツ“ といふ、ジャン・レノ主演のアクションものを見る。“マン・オン・ファイア” もこれも、それに、“ミッション:インポッシブル フォールアウト” も、「愛する者を守るため」に暴力もさないといふのがといふのがくせものだけど、それだから面白いのだらう? 

 

*今日見た、“マン・オン・ファイア” と バレッツ“

 


 

二月二日(日)舊正月九日(乙亥・上弦) 

 

今朝、目覺めたのが一〇時すぎ。食事をして藥を飲んでから、また橫になつてしまつた。 

『梁塵秘抄』 を讀みつづける。半ばを過ぎ、いよいよ「官能的表現」の部分に入つてきた。例へば・・・ 

 

「百日百夜(ももかももよ)は ひとり寢と 人の夜夫(よづま)は何せうに 欲しからず 宵より夜半まではよけれども 曉 鶏鳴けば床寂し」(三三六) 

「われを賴めて來ぬ男 角三つ生ひたる鬼になれ さて 人に疎まれよ 霜 雪 霰降る水田の鳥となれ さて 足冷たかれ 池の浮き草となりねかし」(三三九) 

「美女 うち見れば 一本葛(かづら) なりなばやとぞ思ふ 本より末まで縒らればや 切るとも刻むとも 離れがたきはわが宿世」(三四二) 

さらに、最も有名な一首! 

「遊びをせんとや生まれけむ 戲れせんとや生まれけむ 遊ぶ子どもの聲きけば わが身さへこそゆるがるれ」(三五九) 

そして、『秘抄』中、最もエロティックな歌? 

「王子の御前の笹草は 駒は食めどもなほ茂し 主は來ねども 夜殿には 床の間ぞなき 若ければ」(三六二) 

この歌のどこがエロティックなのか、現代語譯を二種つけておく。 

一 「若宮さまのあの笹草(女身)は 馬が食うても(男が欲望を果たしても)減りはせぬ 旦那は留守でも私の閨(ねや)は 濡れ場ばつかり 若いンだもン」 

二 「王子の社の 庭の草 若駒が食べても 食べても まだ 靑い わたしのいい人 來ないのに いやな奴だけ やつてくる 寢床の空く間も ないほどに」 

 

明らかに、勅撰和歌集では見ることができない庶民の歌である! 

 

W10にアップグレードしたノートパソコンを書齋に持ち込んで、猫を氣にしいしい、「毛倉野日記(十九)」(一九九五年十月) の寫しを再開。順調に進む。

 

 

二月三日(月)舊正月十日(丙子・節分) 

 

朝、定例の齒科でメンテナンス。よくみがけてゐますねと言はれてご機嫌で歸宅。

 

晝を驛前のタカノでタンメンと餃子をいただき、歸路、久しぶりに靑木書店による。元氣がでてきたので顔を出したのだが、また一時間半もお喋りしてしまつた。 

夜になつて、「毛倉野日記(十九)」(一九九五年十月) を寫し終へる。推敲して寫眞を載せてからお送りしたい。 

 

*タカノは二四時間營業の店で安い。ときたまここのタンメンと餃子が食べたくなる。

 

二月四日(火)舊正月十一日(丁丑・立春) くもりのち晴

 

今日から、「毛倉野日記(廿)」(一九九五年十一月) を寫しはじめる。猫を相手にしながらだが、書齋だとはかどる。ただ、「毛倉野日記(十九)」 は、添付して送るのに、アドレスの確認ができてゐないのと、デスクトップパソコンの送受信がエラーとなつてしまふのとで、すぐには送れさうにない。 

 

夜、またアマゾンで映畫を見た。“ハンナ” といふ題で、これも面白かつた。 

 

 

二月五日(水)舊正月十二日(戊寅) 

 

今日は氣分が散漫として、落ち着かなかつた。讀書も中途半端。ただ猫たちとはなかよくすごした。 

澤田ふじ子著 『神無月の女 禁裏御付武士事件簿』 讀了。つづけて、『朝霧の賊 禁裏御付武士事件簿』 を讀みはじめる。禁裏御付武士の活躍によつて、江戸幕府と禁裏および公家社會との關係が浮かび上がつてくる。 

 

夜、ユーチューブで、久しぶりに、岡林信康の 「君にささげるラブソング」 を聽いた。二回、三回と聽いてみた。胸にしみわたつてくる歌聲であり、歌詞である。 

で、その後またアマゾンで、ジョン・トラボルタ主演の映畫、“リベンジ・リスト” をみた。前にテレビで見たはづだが、これも面白かつた。 

このやうに、言つてみれば戰つたり爭ふ映畫が好きなのは、子どもの時からチャンバラ映畫や西部劇が大好きだつたのだから仕方がないとはいへ、どうも偏りがあるやうだ。 

 


 

 

二月一日~五日 「讀書の旅」   ・・・』は和本及び變體假名本)

 

二月五日 澤田ふじ子著 『神無月の女 禁裏御付武士事件簿』 (徳間文庫)