十月(神無月)一日(金)舊暦八月廿五日(壬午) 雨 臺風通過

終日讀書。

北方謙三著 『鎖』(講談社文庫) 讀了。これも再讀。

つづいて、サム・リーヴズの四册め、『過ぎゆく夏の別れ』(ハヤカワ文庫) をよみはじめる。『平家物語 百二十句本』 と 『大和俗訓』 との併讀である。

晝食は即席のスーラータン。最近これにはまつてゐる。少し酢を追加するとさらにいい味になる。

齒の痛みがとれ、食も順調にすすみ、これで體力が回復してくれればいふことなしなのだが、肝心の心臟がどうこたへてくれるか? 

 

十月二日(土)舊暦八月廿六日(癸未) 晴

終日讀書。横になつてすごす。 

 

十月三日(日)舊暦八月廿七日(甲申) 晴のちくもり

終日讀書。

妻の甥の充君がやつてきたので、パソコンをみてもらつたら、“HPひげ日記”が瞬時に回復し、再び利用できるやうになつた。それで、以下のやうな文面で再開してみた。 

“ひげ日記” 再開のお知らせ ・・・ 四月~九月讀書記録 (省略)

 

ところで、中仙道を一緒に歩いたメンバーから連絡があり、コロナ禍がおさまつてきたやうなので、東山會會食ツアーを再開することになつた。まづは、中斷してゐた高尾山ツアーの計畫をねりなおし、今月の下旬に實施する計畫がたてられた。

問題はぼくの體調だが、まあ、あまり歩かなくてもすみそうなので、參加するつもりである。 

 

十月四日(月)舊暦八月廿八日(乙酉) 晴

朝食後、月例の齒科通院日。先週抜齒したところを點檢し、全體をクリーニング。新しい入れ齒の型取りは來週おこなふことになつた。

散歩がてら晝食に出た。ところが、お花茶屋驛の馬刺しの熊本食堂よかよかも、線路を渡つたその先のそば屋も休業で、仕方なく堀切菖蒲園驛にもどつて、タカノのタンメン餃子を食べてきた。それだけで三九〇〇歩。まあまあか。 

『平家物語 百二十句本 二』 と 『過ぎゆく夏の別れ』 よみすすむ。

グレッグ・ルッカ著 『暗殺者』(講談社文庫) がアマゾンから屆く。

 

*最近はまつてゐる即席のスーラータンメンと、タカノのタンメン餃子 

 


 

十月五日(火)舊暦八月廿九日(丙戌) 晴

今日は、月例の慈惠大學病院通院。血液と心電圖檢査良好。みか先生には、齒の痛みが消えて心身がらくになつたことを報告。

晝食は、病院内の松壽庵で天せいろをいただき、これを完食。神保町では、一誠堂書店と八木書店の店員さんにあいさつ。“ひげ日記” が再開されたことをお知らせする。

それから表參道經由で町田に行き、ブックオフを訪ねた。そして十六時に柿島屋にはいり、久しぶりに美味しくてやわらかな上馬刺しをいただくことができた。

今日の収穫・・・湯浅景元著 『老いない体をつくる 人生後半を楽しむための簡単エクササイズ』(平凡社新書)。─ 原状回復に少しは役立つてくれるだらうか?

今日の歩數・・・八五六〇歩

 

*循環器内科の待合室と松壽庵の天せいろ。慈惠大學病院は昨年一月から新しい建物に移つたけれど、このコロナ禍のあひだ、通常の通院では、入り口での消毒と檢温以外、コロナ騒ぎをまつたく垣間見ることもなく平常だつた! 

 



 

十月六日(水)舊暦九月一日(丁亥・新月) 晴

終日讀書。ただ、三匹の猫を相手にしてゐるので、のんびりとよめなかつた。

『平家物語 百二十句本』 は、第三十句〈關白流罪〉が終り、第三十一句〈嚴島御幸〉に入る。やつと平家物語らしくなつてきた。

それにしても、『源氏物語』 とはなんだつたのだらう? 不思議な世界といふか、隔絶された微小世界、いや閉鎖的な世界のおとぎ話のやうな氣がする。ぼくにはやはり開かれた世界を旅するやうな話がいいなあとつくづく思ふ。

サム・リーヴズの四册め、『過ぎゆく夏の別れ』 をよみすすむ。このシリーズのなかで最もはらはらドキドキする内容だ。惜しむらくは、すべてシカゴが舞臺なのだが、シカゴといふ都市のイメージがつかめてゐないことだ。地圖もなかつたので、昨日ブックオフで、『地球の歩き方 シカゴ』 といふ地圖付きガイドブックを買つてきたのだが、それでもニューヨークやロスアンゼルスのやうには、地理の感覺がつかめない。殘念! 

 

十月七日(木)舊暦九月二日(戊子) くもり

會食散歩、今日は先日休みだつたお花茶屋驛の熊本食堂よかよかを訪ね、馬刺しのレバーとユッケを食べてきた。期待にたがはず、コリコリやはらかく美味しくて至福のひとときだつた。

歸り、お花茶屋驛前の古本屋で、北方謙三著 『魂の岸辺』(集英社文庫) を求める。

歩いた歩數は三四〇〇歩。まあまあとする。

東山會の高尾山會食ツアー、あれよあれよといふまにすでに參加者もでそろつて、あとは當日を待つばかりとなつた! みなさんとお會ひできるのが樂しみだが、その前に體力をすこしでもつけておきたい。

サム・リーヴズ著 『過ぎゆく夏の別れ』(ハヤカワ文庫) 讀了。じつに面白かつた! これでシリーズが終つてしまつてゐるやうなのが實に殘念である。 

 

*熊本食堂よかよかの馬刺しのレバーとユッケ

 

十月八日(金)舊暦九月三日(己丑・寒露) くもり

昨夜、一〇時四一分、大きな地震があつた。震源地は千葉縣北西部で、足立區や埼玉縣南部では震度5強だといふのだからびつくり。我が家に被害はなかつたけれど、東北大震災を思ひ出させる大揺れだつた。

『平家物語 百二十句本』、第三十一句〈嚴島御幸〉をよんでゐて、かつて、といつても今年の一月に、この嚴島御幸に随行した源通親が著はした、『高倉院嚴嶋御幸記』 を、和装の「元版群書類從特別重要典籍集」でよんでゐたのだつた。もういちどよんでもいいと思つた。

北方謙三著 『君に訣別の時を』(集英社文庫) 讀了。 

 

十月九日(土)舊暦九月四日(庚寅) くもり

『平家物語 百二十句本』、第三十一句〈嚴島御幸〉が終つたところで、第三十二句〈高倉の宮謀叛〉に入る前に、すでに讀んでゐるが、『高倉院嚴嶋御幸記』 をもう一度よみなおすことにした。『百二十句本』 にくらべると、文字も大きくてよみやすい。 

 

十月十日(日)舊暦九月五日(辛卯) くもり

北歐アイスランドの作家、アーナルデュル・インドリダソン著 『湿地』(創元推理文庫) をよみはじめたら、同じ北歐スエーデンの作家、ヘニング・マンケルと同樣面白い。 

今日も充君がきて、パソコンをみてくれた。手持ちのパソコンAでDVDが見られるやうにしてくれ、また、パソコンの二臺目のBを充君にその處分を依賴。賣つてもいいし、廢棄してもいいと付け加へる。これで、ベッド専用のパソコンCとリクライニングチェアの前に据ゑたパソコンAの二臺のみとなり、すつきりとした。 

 

十月十一日(月)舊暦九月六日(壬辰) くもり

今朝は、久しぶりに妻と一緒に作業。二階の書齋の臺所の窓に、目隠しとして覆はれてゐた波板をはがした。尾池さんが、家をのぞかれないやうにと他人の家の窓に目隱しをしたそのなごりだ。その眞向かひにできた住宅にまだ人が住まないうちにと思つて、二人してふらふらしながらも力をあはせて仕とげることができた。 

午後NHKBSで、“グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~” を見た。ロビン・ウィリアムスとマット・デイモンの出演で、感動的だつた。 

元版群書類從特別重要典籍集」で、源通親著 『高倉院嚴嶋御幸記』 讀了。再讀とはいへ、四日でよみあげることができた。

つづいて、『平家物語 百二十句本』、第三十二句〈高倉の宮謀叛〉に入る。「高倉の宮」とは以仁王のことである。さあて、いよいよである。

また、アーナルデュル・インドリダソン著 『湿地』(創元推理文庫) 讀了。

内容・・・レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。現場に残された謎のメッセージ。被害者の隠された過去。衝撃の犯人、肺腑をえぐる真相。いま最も注目される北欧ミステリの巨人、待望の文庫化。  

 

十月十二日(火)舊暦九月七日(癸巳) 曇天

アーナルデュル・インドリダソン、つづいて第二作の 『緑衣の女』(創元推理文庫) をよみはじめる。

夜、アマゾンで映畫、“トゥモロー・ウォー” をみる。 

 

十月十三日(水)舊暦九月八日(甲午・上弦) 曇天

終日讀書。

今晩も、アマゾンで映畫 “ザ・ターゲット/陰謀のスプレマシー” をみる。 

 

十月十四日(木)舊暦九月九日(乙未) 曇天

『平家物語 百二十句本』、〈高倉の宮謀叛〉に続き、〈信連合戰〉をよみすすむ。謀叛が露見した以仁王が、信連(のぶつら)のすすめで女房姿で逃げたあと、以仁王が持ち忘れた「小枝」といふ秘藏の笛をとどけたあとの長兵衞尉信連の活躍がすさまじい。ひとりとつて返すと、追手の役人たちにたいして

・・・長兵衞、「ものも知らぬやつばらが申し樣かな。馬に乘りながら庭上に參るだにも奇怪なるに、『下部ども參りてさがしたてまつれ』とは、なんぢらいかでか申すべき。日ごろは音にも聞き、いまは目にも見よ。左兵衞尉(さひやうゑのしう)長谷部の信連といふ者ぞや。近ふ寄りてあやまちすな」とぞ申しける・・・(適時假名を漢字に變換)

奮戰ののち捕らはれてはしまふのだが。やつと平家物語らしくなつてきた。 

 

十月十五日(金)舊暦九月十日(丙申) 曇天のち晴

フレンチトーストの朝食後、朝一で齒醫者に行つたところ、新しくできる入れ齒の調整をしただけで、仕上がりは來週といふ。今日は出かけて例のちらし壽司を食べ、古書店街を散歩しようとしてゐたのぞみが絶たれたので、歸宅後は横になつて終日讀書。 

アーナルデュル・インドリダソン著、『緑衣の女』(創元推理文庫) 讀了。第一作とともに、DVや家庭内暴力の話なので、重苦しかつた。

内容・・・男の子が拾った人間の骨は、最近埋められたものではなかった。発見現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかになる。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した、究極の北欧ミステリ。

つづいて初挑戦、グレッグ・ルッカの 『守護者』(講談社文庫) をよみはじめる。舞臺はニューヨークである。 

 

十月十六日(土)舊暦九月十一日(丁酉) 曇天

今朝もフレンチトースト。ひるは肉まん。夕食はおでん。はやくステーキを咀嚼したい!

『平家物語 百二十句本』 よみすすむ。〈信連合戰〉につづく、〈競(けい・きほふ)〉がこれまた面白い。やはり、時間をかけてゆつくり味はつてこその面白さが物語にはあるのだらう。變體假名でよむ役得とでも言はうか、まるではじめてよむ物語なのだ。

さう言へば、『源氏物語』 も變體假名でゆつくり味はつてよんだから、物語の世界にだいぶ浸つてゐたわけで、ときどきある場面が思ひだされてなつかしい。 

 

十月十七日(日)舊暦九月十二日(戊戌) 小雨のち曇天

淸水から、マリちやんと日又君が來てくれた。妻は大喜び!

グレッグ・ルッカの 『守護者』(講談社文庫)、いわゆるガードマンもので、ぼくにはどうも好感がもてない。すぐに切り替へて、S・ハンター著 『ブラックライト』(扶桑社ミステリー) をよむことにした。

今晩も、アマゾンで映畫をみる。  

 

十月十八日(月)舊暦九月十三日(己亥) 晴のち曇り、寒くなる!

昨晩ふつうに眠れたのに、今日は一日中眠たくてしかたなかつた。讀書もすすまず。

それでも、『大和俗訓』(和本) も、卷第一の 〈爲學〉 の半ばまでよみすすむ。本書は、すべて平假名の 『平家物語 百二十句本』 とことなつて、漢字假名交じりの文章だから、漢字のくづし字の解讀にはてこずる。まあ、岩波文庫の活字本があるので、いざとなつたらのぞくやうにしてゐるが。

それにしても、述べられてゐる内容は至極濃い。

「人となる者、人倫の道は天性に生れつきたれども、その道に志なくして、食にあき、衣をあたたかにき、居所をやすくしたるまでにて、聖人の敎を學ばざれば、人の道なくして鳥けだものにちかし。かくの如くなれば、人と生まれるかひなし」

なんて、耳がだいぶ痛い!

と言ひながら、朝食は昨夕のカレーライス、ひるは隣に住む今は亡き從兄の三女良ちやんがぼくのために作つてくれたロールケーキと即席のチーズポテト。夕食はまぐろの山かけとタラ入り湯豆腐。柔らかいものばかりだが、食べるのに時間がかかり疲れる。

  

十月十九日(火)舊暦九月十四日(庚子) 曇りのち雨

寒いので、終日横になつて讀書。

『平家物語 百二十句本』 よみすすむ。〈三井寺大衆揃ひ〉につづく、〈橋合戰〉、〈賴政最後〉がまた面白い。卷第四もぢきに終る。

今日の朝食はまたフレンチトースト、ひるはグラタン。夕食はとろろ汁と焼き鳥のレバー。妻も柔らかいものを考へるのに苦勞してゐる。 

 

十月廿日(水)舊暦九月十五日(辛丑・滿月) くもり

今日も一日中眠かつた。讀書は、もつぱら 『平家物語 百二十句本』。

今日の朝食は卵かけごはん、ひるはコロッケ一個。夕食はおでんとあん肝。あと二日! 

 

十月廿一日(木)舊暦九月十六日(壬寅) 曇り時々晴

今日も寢たきり讀書。 

 『平家物語 百二十句本 二』(古典文庫) 讀了。〈卷第四〉が面白かつた。信連のこと、競のこと、橋合戰での兩軍の戰ひぶり、賴政の退治もあらためて面白く讀んだ。

 

十月廿二日(金)舊暦九月十七日(癸卯) 小雨

二週間ぶりに齒が入つた。が、なれるしかないのだらう、ゆつくりたべることを強要される。

『平家物語 百二十句本』、古典文庫全六册のうち三册目に入る。その第四十一句、福原への〈都遷し〉につづく、第四十二句〈月見〉がよかつた。まるで王朝時代のできごとのやうで、『源氏物語』 のことが話題にのぼる。

「福原におはする人々の、秋もなかばになりぬれば、名所の月を見んとて、あるいは源氏の大將の昔の跡をしのびつつ、須磨より明石の浦づたひ、淡路の瀨戸をおし渡り、繪島が磯の月を見る」

また、待宵の小侍從といふ歌人と、徳大寺實定に仕へる藏人のはなし(歌のやりとり)がほほゑましくていい。 

 

十月廿三日(土)舊暦九月十八日(甲辰) 晴

今日は、齒も入つたことだし、二週間ぶりに外出をした。

會食散歩である。會食といつても、食べ物に會つてたべることで、いはばひとり會食である。ひとり歩きがぼくの生き方でもある。

久々ながら、新御茶ノ水驛下車、“誠鮨”でいつものサービスランチのちらし壽司をたのもうとしたら、ランチはなくなつたのだといふ。そこで、すぐににぎりをたのんだところ、それがまた美味しくて、値段はちよいとたかいが、これからはこれが定番になりさうである。かんぺう卷のかんぺうが適度な味がついてゐて微妙な味はいである。目の前に大きなざるがあつたので聞いたら、それがかんぺう(干瓢)の味付け中で、やはり時間をかけて味を引き出してゐるのだ。てまひまかけてこその美味しさだといふことがよくわかつた。

御茶ノ水驛から高圓寺に移動して、今日からはじまつた古本市を見たが、文庫本ばかり八册を購入。折り返し、御茶ノ水驛までもどつて、明大通りをくだつて古書會館を訪ねた。が、いはゆる豪華ないい本ばかりで、欲しい本は一册もなし。

あとは古書店街をにしひがし、むやみに歩き回つたので、歩數がのびて、歸宅したときには九〇二〇歩であつた。上出來上出來!

ところで、夕食は、來年取り壊される三省堂地下の“放心亭”でカキフライをいただいた。ゆつくり愼重に咀嚼しながら食べたせいか、とてもとても美味しかつた。

 

今日の収穫・・・『平家物語』 をよんでゐて、よく語られるのが中國の歴史や故事なのである。それで、あらためて、鳥山喜一著 『中国小史 黄河の水』(角川文庫)、宇野哲人著 『中国思想』(講談社学術文庫)、井上靖著 『孔子』(新潮文庫)。それに儒敎をこつぴどく批判してゐる、村松暎著 『儒敎の毒』(PHP文庫) といふのが目についたのでもとめてみた。 

 


 

十月廿四日(日)舊暦九月十九日(乙巳) 晴

寢坊。昨夜はおそくまで、『平家物語』 をよんでゐたからである。第四十四句が〈賴朝謀叛〉、つづく第四十五句は〈咸陽宮〉。中國の故事、秦の始皇帝の宮殿のはなしだから途中でやめられず、さらに第四十六句は〈文覺〉ときては、徹夜になるかと思つたとたん寢入つたやうでる。 

 

十月廿五日(月)舊暦九月廿日(丙午) 曇天

午前中、齒科をたずね、あたらしく入れた齒を調整していただく。

それを待つてゐたかのやうに、マキさんから突然の誘ひがあつたので、ひる一二時に上野で待ち合はせ、西郷さんビルのなかのペッパーランチ(いきなりステーキ)で、ステーキをいつしよに食べた。うまかつたが、ぼくにはアルカサールの和風ステーキのはうが口にあふと思つた。

また、行きに驛前の地區センターに立ち寄つて、期日前投票をおこなつた。

 

今日の歩數・・・三八〇〇歩 

貝原益軒著 『大和俗訓 卷之一・二〈爲學〉』(和本) 讀了。

これは、江戸時代の朱子學者貝原益軒が七九歳の時に著した敎訓集。儒敎的倫理觀から修身・禮儀・作法などを平易な和文で記す。全八卷。寶永五年(一七〇八年)刊。

とあるが、今日よむとかなり難しい。次には 『養生訓』 を讀む豫定にしてゐるので、はやくよみたいがさうもいかんところが讀書の醍醐味なのであらう。

また、S・ハンター著 『ブラックライト(上)』(扶桑社ミステリー) 讀了。『平家物語』 と 『大和俗訓』 がおもしろいので、遅々として進まなかつたが、後半になつてやつと引き込まれるやうな展開になつてきた。 

 

十月廿六日(火)舊暦九月廿一日(丁未) 曇天のち晴

終日横になつて讀書。

食事を適度にとつて、昨日の疲れをとり、あすの高尾山行きの英氣を養ふ。 

 

十月廿七日(水)舊暦九月廿二日(戊申) くもり一時雨

今日は待ちに待つた東山會恆例の會食ツアー。京王線高尾山口驛一〇時集合。中仙道を歩くツアーでお世話になつた、添乘員の高橋さんも參加してくださり、 參加者七名、永田さんの案内で高尾山を樂しむ。

ケーブルカーで展望臺へ。そこからは歩いて藥王院。この道のりがわづかとはいへ、からだには堪へた。このあたりから雨が降つてきて、これは殘念と思つたところ、じつに多彩な精進料理、その名も「天狗膳」をいただいてゐるあたりからは回復。歸路、ケーブルカーに乘り、“TKAO599”といふ自然觀察館で樂しみ、それから驛に隣接した“高尾温泉”に入れたのは至福のひと時でありました。ただ、霧が深く、見渡せるはづの景色が眺められなかつたのが惜しいと思ふばかりでありました。

歸路、高尾山口驛で乘車。それぞれの歸路にあはせて、一人二人下車されて、最後はぼくひとり。京王線・新宿線直通、馬喰横山驛乘り換へでお花茶屋驛下車。“熊本食堂よかよか” で馬刺しのレバーとひれを食べた。やわらかくて、味はひがあつて、これで一日を〆ることもできたので、ちかごろにはない最高の一日であつた。

今日の歩數・・・一〇三五〇歩   

 


 

十月廿八日(木)舊暦九月廿三日(己酉) 晴

今日は休息日。昨日は、なにせ久しぶりの一〇〇〇〇歩を越えるウオーキングだつた。

うとうとしつつも、終日讀書。

『平家物語』 は、〈咸陽宮〉につづく第四十六句〈文覺〉。流布本では〈文覺荒行〉〈勸進帳〉〈文覺被流〉〈伊豆院宣〉と章が分けられてあるところが、この百二十句本では、すべて〈文覺〉のなかに収めれれてゐて、それだけに長い。賴朝が文覺の勸めによつてたうとう、重い腰を上げ、「謀叛」にとりかかるところ。そしてそれに呼應するかのやに、第四十七句〈平家東國下向〉がはじまる。いよいよ〈富士川〉である。

ところで、石橋山の戰ひはどうしたのだらうか。そのことが出てくるのは、長い〈文覺〉のその最後の行に、「(賴朝は)石橋山の合戰のときも、この院宣を錦の袋に入れて、旗の上につけられけるとぞ聞こえし」とあるのみ。文覺が都から持ち歸つた平家追討の院宣を大事に戰つたといふだけで、その肝心の戰ひの内容には触れてゐないのである。

ちよいと肩透かしをくつた思ひである。といふのも、二〇一五年正月七日に、「中仙道を歩く」と同じトラベル日本の企畫で、「源賴朝挙兵の地・石橋山古戦場を歩く」といふツアーがあつたのに參加したからだ。リーダーは檜垣さんと山寺さんで最強のメンバーだつた。それなのに、本家本元の 『平家物語』 にはその合戰記が記されてゐないといふのはゆるされないと思ふわけである。ちなみに、『源平盛衰記』 には描かれてゐて、このウオークをもとに書いた 『歴史紀行 四十 石橋山古戰場探訪』 にも多く引用させていただいたのがなつかしい。

S・ハンター著 『ブラックライト(下)』(扶桑社ミステリー) 讀了。意外な展開で、ぼくには見抜けなかつた!  

 

十月廿九日(金)舊暦九月廿四日(庚戌・下弦) 晴

今日も休息日。どうしたわけか、起きられずに終日横になつて讀書。

ヘニング・マンケルの七作目、『背後の足音(上)』(創元推理文庫) をよみはじめる。

『平家物語 百二十句本』 は、〈富士川〉が面白かつた。平家軍の敗走場面の描寫なんかいきいきとしてゐる。それに對してわけのわからないのが〈五節の沙汰〉。で、「さしも横紙をやぶられし太政入道も」、「今度の(福原への)都遷り」を反省したか、みな、「にはかに都かへり」にほんそうする場面。これは滑稽である。つづいては、〈奈良炎上〉。 

 

十月卅日(土)舊暦九月廿五日(辛亥) 晴

今日はいい天氣なので、會食散歩に出た。まづ、お晝を驛前の“タカノ”でタンメン餃子をいただいた。これがいつも食べてゐるのに特別に美味しく感じられたのだ。きつと、期待が大きかつたこととともに、期待してゐたイメージ通りの美味しさだつたからだと思ふ。

それから、京成線町屋驛から千代田線で新御茶ノ水驛、中央線高圓寺驛下車。西部古書會館で開催中の古本市をたずねた。

文庫本三册のほかに、約束を破つて和本を求めてしまつた。志賀忍といふ江戸後期の人物の著書 『三省録』 である。その二、三、四の三册。一册二〇〇圓だつたからだが、内容は、「飲食之部」、「住居之部」、「軒のしのぶ」といふ隨筆のやうだ。翻刻されたものが、吉川弘文館から出てゐる 『日本随筆大成 第二期 第一六巻』 に納められてゐるやうだ。

驛のホームのベンチなどで、持つて出た 『背後の足音』 をよんで時間を過ごし、夕食は久しぶりに靑砥驛の“すし三崎丸”で海鮮酢の物とにぎりをいくつかいただいた。

また、新御茶ノ水驛の成城石井で、入手困難だつた枕崎産の「薩南製糖黒砂糖」を五袋、靑砥驛のダイソーでは、國産で遺伝子組換へされてゐない大豆でつくられた「きなこ棒」などのお菓子を買ふ。さう、堀切菖蒲園驛前にセブンイレブンが昨日開店し、そこでは新潟縣産米使用の品川卷を二袋もとめた。驛前にコンビニがなかつたなんて今時考へられない!

今日の歩數・・・六二〇〇歩 

 

十月卅一日(日)舊暦九月廿六日(壬子) 曇天

夜更かしがすぎたので、日中寢たかつた。

ヘニング・マンケル著 『背後の足音(上)』(創元推理文庫) 讀了。連續殺人事件の眞相は何か、緊張が高まる。(下)に入る。

『平家物語』第五十句〈奈良炎上〉。常に思ふところだが、歴史といふのはじつに殘酷だ。人々が營々と築いてきたものが、一握りの愚か者によつて燼に歸してしまふ。そのありさまが生々しく描かれてゐる。

貝原益軒の 『大和俗訓』 卷第三の 〈心術〉 より。

「人となる者は、天地の心に隨ひ、仁愛を以て心とし、行ふべし。己を愛する心を以て人を愛す。是れ仁なり」 

 

 

十月一日~卅一日 「讀書の旅」 ・・・』は和本及び變體假名・漢文)

一日 北方謙三著 『鎖』 (講談社文庫) 再讀

七日 サム・リーヴズ著 『過ぎゆく夏の別れ』 (ハヤカワ文庫)

八日 北方謙三著 『君に訣別の時を』 (集英社文庫)

十一日 源通親著 『高倉院嚴嶋御幸記』 (元版群書類從特別重要典籍集)

同日 アーナルデュル・インドリダソン著 『湿地』 (創元推理文庫)

十五日 アーナルデュル・インドリダソン著、『緑衣の女』 (創元推理文庫)

廿一日 『平家物語 百二十句本 二』 (古典文庫)

廿五日 貝原益軒著 『大和俗訓 卷之一・二〈爲學〉』 (和本)

同日 S・ハンター著 『ブラックライト(上)』 (扶桑社ミステリー)

廿八日 S・ハンター著 『ブラックライト(下)』 (扶桑社ミステリー)

卅一日 ヘニング・マンケル著 『背後の足音(上)』 (創元推理文庫)